HEARTFUL MELODY

基本YOU TUBEに上がってる音源を貼って文章を併記するスタイルですが、YOU TUBEに1曲切り出しの形でない場合(音源フルでしか上がってない場合含む)は、画像のみの掲載とします。

ATTACK

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■"Return of Evil"ATTACK

実はメタル色が希薄だったデビュー作からうってかわり、ついにメタルバンドらしくなっていた2ndアルバム。1985年のジャーマンメタルといえば当然ACCEPTの絶大な影響下だったわけだが、ATTACKはそうした影響をほぼ受けず、ブリティッシュメタル色の強い音楽性を独自に追求していたのが興味深い。曲の出来には波があったり、モロにIRON MAIDENな場面が随所で飛び出したりと、正直B級品どまりではあるが、それでもRicky Van Heldenの孤高の美学が繊細に積み上げられた力作であることには違いない。後年のATTACKの作品のファンも、この2作目は聴いておかなければならないだろう。後年の音源で再収録される"Dirty Mary"、"Indian Lady"収録。

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■"Destinies of War"ATTACK

ジャーマンパワーメタル色を取り入れ、前作から大きな飛躍を果たした3作目(本当はお蔵入りアルバムを一作挟んでいるのだが)。恐らくはHELLOWEENやRUNNING WILDの台頭に危機感を抱いたのであろう。その2バンド同様のキャッチーさを打ち出してはいるが、一方でそれまでのブリティッシュメタルからのルーツを捨てたわけではない。JUDAS PRIESTやIRON MAIDEN譲りのこの高潔なオーラは、先述の2バンドにはないものだ(彼らもまたルーツを同じくするとはいえ)。冒頭のナレーションのイントロから炸裂するファストナンバー"Wonderland"から、バンド史上最強の名曲でもある"Death Rider"、そして重々しく厳かな"The Last Surviving Man"、温かい泣きのメロディが心の芯まで響くラスト曲"Destinies of War"まで、一音たりともスキを見せないほど本当に圧倒的な流れだ。随所に配された穏やかな叙情もまた見事で、高らかで美しい音楽としてのヘヴィメタル愛する人ならば、必ずや目頭を熱くすることだろう。Ricky Van Heldenのヴォーカルも、物理的には相変わらずか細いままのはずなのに、不思議な力強さを響かせるようになってきた。問答無用の名盤であることなど、言うまでもない。個人的にはジャーマンパワーメタルというジャンルにおいての無冠の最高峰だとも思っている。

…こんな歴史的名盤として本来重んじられるべきアルバムなのに、世間的にはかなり安っぽいイメージで捉えられているよね?自分自身、今回改めて聞きなおすまで、こよなく愛してきてはいても、それは正直あったよ。それはれっきとした理由があってね・・・。本作はタイトル曲"Destinies of War"で締めくくる9曲が原典の姿なんです。それが、その後の再発で"In This Night"、"Way out of Hell"、"Wardance"なる曲が、ボーナストラックだかなんだか不明瞭なまま追加されちゃって・・・"Wardance"はまだいいんだけど、他2曲が滑っちゃってる曲なんですよ。"Way out of Hell"は音質からして異質("Seven years in the Past"のボツ曲か?)。嫌いではないし、未発表トラック集にでも収められていたら素直に楽しめるだろうけど、こうした完全無欠なアルバムが相容れる曲じゃないです。ボーナストラックが本編を損ねる典型。しかしこれらのボートラ入りが現在標準フォーマットになってしまってるので、本作は各自で9曲目で本編は終わりという意識を持って聴きましょ。

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■"Seven Years in the Past"ATTACK

明確にジャーマンメロパワ路線へと以降した1992年リリース4作目のオリジナルフルアルバム。まず一聴してのけぞるのが、簡素過ぎるサウンドプロダクション・・・中でも深刻なのがドラムで、ポスポスと軽い音の上に、叩いてるのがなんとRicky Van Helden。リズムキープは出来ているものの、必要最低限の演奏であり、ここらが本作のスケール感を大きく殺いでいるのは間違いない。ディールを失い低パジェットでのレコーディングを余儀なくされていたということだが、Ricky Van Heldenほどのこだわりの人であるなら、ここは何かしらで予算が取れるまで制作を待って欲しかったところだが、とりあえず簡素でもジャーマンメロパワな音源作って日本に売り込もうという思惑のほうが先行したのかなあ。当時の日本は確かにジャーマンメロパワの圧倒的な供給不足で、そういう音ならもうゴミでもカスでも飛ぶように売れた時期はあったからねぇ・・・。曲自体は素晴らしい素地のものが揃ってます。それはもう前作に負けていないくらい。捨て曲ないです。あとギタリストは本作にて新たに入った方ですが、流麗で印象的なソロをバンバン連発しており、こちらも素晴らしい仕事をしております。このATTACKってバンドは本当にギタリストにはめっぽう恵まれるバンドですね。しかしこの簡素な作りでは・・・さすがに前作と比べるべくもない。そういえば2作目収録の"Indian Lady"の再録も行われてますが・・・ぐぬぬぬ。今からでもリレコーディングしてくれませんかね?B級ジャーマンメロパワという前提でしたら、かなりの秀作であり、買って損はないと思います。

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■"Revitalize"ATTACK

"Seven Years in the Past"、"Destinies of War"の日本盤発売がなんのかんので成功したため、新曲と他過去曲の紹介を目的とし制作されたコンピレーション盤。本作制作時にはバンドが再編されており、専任ドラマーも3rdにいた方が復帰している。そうした体制で制作された新曲3曲がまず素晴らしい。単純にカッコいいです。"Seven Years~"と同路線のジャーマンパワーメタルであるが、ドラマー含めてバンドが固まっていると、この路線でもやはりこれだけ良いものが出来るというわけだ。過去曲収録については、1st、2nd収録曲はリレコーディングされているが、バンドの面子もスタイルも変わっていると、良くも悪くも原典とは大きく変わってきてしまう。4th収録曲はリミックスされたり音加えられたりしているようだが、正直あまり違いを感じないし、そんなんだったら真っ先にドラム差し替えて欲しかった。そんでもって、3rdからが2曲ってのが寂しいねぇ。まあなんのかんの言いつつ、新旧の音をおおざっぱながら網羅できるということで、初めてATTACKに触れるにも適しているアルバムになってるとは思う。オリジナルアルバム揃えている人も、新曲3曲は本作にしか収録されていないので、やっぱり買っておかなければなりません。

なお、本作も数回再発されているが、そのたんびに曲順、収録曲が少なからず変化しているので、注意が必要である。個人的には、一番最初に発売された日本盤が一番バランスよいかな。

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■"The Secret Place"ATTACK

日本盤発売以降、活動の地盤がようやく固まってきたATTACKが、満を持して世に放った5作目のフルアルバム。前作は不幸な経緯によって残念な出来になってしまったが、安定した環境を得て制作された本作は、名盤3rdに迫るくらいに素晴らしい内容だ。さらにパワーメタル色を強めており、エピカルで繊細な感触が後退しているのはやや寂しいが、それでもRicky Van Heldenのフルートやチェロを生かした叙情的な展開は随所に配されており、そうした感性を失ったわけではない。何より、パワーメタルとしてこのスキのない完成度はどうだ。勿論捨て曲などありませんし、ともすれば同じような曲そろいになってしまいがちなこのジャンルにおいて、各曲の表情をこれだけ豊かにつけられるというのは本当に凄いよ。演奏面では、前作より復帰したドラマーの貢献大。ドラムソロ主体のインスト曲を一曲やってるけど、やっぱリーダーの片手間プレイとは大違いだねぇ。本当巧い方なんだけど、彼は何者?メタル辞典見てもイマイチ素性が分からない(FAIR WARNINGの日本公演で来たり、最近だとALMANACにいたようですが)。ギタリストはまた2人とも交代してますが、新任者もまた何の不安もない仕事をしております。もしかしたらギターは作品ごとにセッションミュージシャン雇ってるのかもね。

なお、本作がATTACKとして現時点で最後の作品となってしまっている。"Deadlocked"なるアルバムを1996年にレコーディングして未発のままになってるようだけど、このタイトルからして?!な感じだよな。あと幻の3rdアルバム"Beastkiller"についても、Ricky Van Heldenからのコメントが二転三転してるんだよな。正直この御仁、少々胡散臭い感が否めない。今後のオリジナルアルバムとしての新作は、もう期待しないほうがいいのかも。まあそれでもこれまでこれだけ素晴らしいアルバムを残してくれたのだから、それで十分ですが。

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■"Warriors of Time"ATTACK

現時点で最新のATTACKアイテムは、この2011年リリースのベスト盤となる(再発を除く)。"Revitalize"とは全く別の新規のベスト盤なので注意。1st、2ndの曲は、"Revitalize"以降の新録バージョン。また、収録時間削減のため、一部トラックはイントロが削られたり編集されたりしている。リマスターされているとはいえ、こういう手が加えられているのであれば、価値半減。正直内容的には、"Revitalize"も含めてこれまでのアルバムそろえていれば用のない代物なのだが、長らく音信普通だったRicky Van Heldenの近況コメントが記されているということで、僕は買った。そんだけです。