HEARTFUL MELODY

基本YOU TUBEに上がってる音源を貼って文章を併記するスタイルですが、YOU TUBEに1曲切り出しの形でない場合(音源フルでしか上がってない場合含む)は、画像のみの掲載とします。

PROTECTOR

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■"Golem"PROTECTOR

ジャーマンスラッシュ最強の過激派であるPROTECTORのデビューアルバム。デスメタルとカテゴライズされることも多いバンドで、まぁMERCILESSがデスというならこのバンドもデスなんだろうなぁと思うのだが、個人的には"Heritage"アルバムを除いてあくまでスラッシュの枠で捉えたい。PROTECTORの個性といえば、やはり初期KREATOR以上のアップテンポで突っ走る音速ビートに、Gリフにおけるカミソリのような単音主体の刻み。そして独特のヴォーカルの乗せ方である。このバンド、とにかくヴォーカルのテンポが遅い。良くも悪くも楽曲のテンポに煽られない。ミレやクウォーソンのように半ばヤケクソにまくしたてはしないのだ。それゆえにこのバンド、数値的には物凄く速いのに、体感速度が死んでいる。その辺がこのバンドの好き嫌いを強烈に分けるところであり、また結局ポストKREATORにはなれなかったんだなぁとも思うのだが、このバンドについては速さではなく、ピリピリとした緊張感に注目していきたい。そうあればやはり卓越した格好良さを誇っており、またどのアルバムも余さず高クオリティであるし、全作そろえて真剣に対峙するに値するバンドなのだ。そんな彼らの個性と本領はこのデビュー作で既に確立されている。録音が素朴で軽いのと、そもそもこの音を最初からフルアルバムサイズでなじめるのかという危惧があり、入門アルバムとしてはどうかなぁという気もするが、別のアルバムでこのバンドにハマったならば、原点として本作も是非押さえておくべきだろう。

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■"Urm the Mad"PROTECTOR

このバンドはスラッシュメタルブーム終焉が既にちらついていた時期にデビューしたこともあり、あまり悠長にキャリアを積んでいられなかったという事情がある。その辺で、2作目にして速くも挑戦的な作風となったのだろう。単調さを打破するために、楽曲やアルバム構成に起伏を持ち込むのは、この手のバンドの常だが、メタリカ的なメロウなドラマ性は、この時期既に散々のバンドに使い古されていた。このバンドが本作で体現したのは、静と動、鈍と鋭の間に大きめのギャップを設けたことによる、緊張感のさらなる強調だ。何かしら音を鳴らしてないと気が済まないこの手のバンドの作品としては珍しく、特有の間があり、ある種の空間性すらも感じさせる。この知性、芸術性は、やっぱりAtom H出身だなぁと改めて感じる。これがもし他所のレーベルの世話になってたら、大分違う作品、バンドになってたかもね。特段難解性があるわけではないので身構える必要もないが、単純明快にカッ飛べるアルバムが欲しい人には向いてない。最初聴くにも向いてないと思われるので、これもまた後回し推奨作品かも。となると初心者はやっぱり"Leviathan's Desire"からを勧めたくなるんだなぁ。

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■"Leviathan's Desire"PROTECTOR

PROTECTORの原初的な魅力を最大限に強調したのが、この5曲入りミニアルバムだろう。ミニアルバムだからといって決して軽視してほしくない。個人的には本作がPROTECTORの最高傑作だと思うからだ。"Urm the Mad"でのアルバム通しての緊張感を、楽曲単位で封じ込め、凄まじいテンションと殺傷力で突っ走る。本作ではヴォーカルが、Martin MissyからOlly Wiebelに交代しており、この新任の歌がまた切迫感を醸し出すので、その緊張感はより増幅されている。本作でもって、オリジナルメンバーであるギターとベースも脱退。その後このバンドは少なからず音の感触も変えていくので、本作は記念碑的な作品とも言える。初心者は本作から入りましょ。

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■"A Shedding of Skin"PROTECTOR

"Leviathan's Desire"でのメンバー脱退を受けて、残されたドラムとヴォーカルだけで制作された3rdアルバム。ギターとベースはなんとヴォーカルのOllyによる兼任である。それでいて、全く付け焼刃を感じさせないこの演奏の上手さ。元よりギター持ってPROTECTOR人脈とバンドやってた人らしいが、それにしてもこの多芸達者ぶりは賞賛を送るほかない。内容だが、メンバー構成が大きく変わったことにより、一気にヘヴィなスタイルになった。音速ビート主体はそのままだが、ギターはカミソリでスパスパと切り刻むような感触から、重厚な刻みを押し出すようになった。そうなると、音速ビート+遅いヴォーカルは、やや無理が出てきてるような気もしないでもない。実際本作で際立ってるのは、"Doomed to Failure"のようなミッドテンポ曲のドライブ感だ。とはいえ、カッコいいには何も変わりもしないし、クオリティ面も極めて優れている。PROTECTORにハズレはないですよ。

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■"The Heritage"PROTECTOR

前作リリース後、ついに唯一のオリジナルメンバーであったドラムのMichael Hasseが脱退(数年後、ドラッグのオーバードーズで逝去)。オリジナルメンバー不在の上、2作前に途中参加した奴がバンドの看板を背負うという凄い状況下で作られたのが、この4作目のオリジナルフルアルバムである。さすがに元いた人全員いなくなって、元来の音が維持できるわけがない。本作は表層的にはPROTECTORのスタイルを継承しつつも、実体はとうとう完全にデスメタルとなった。以前のPROTECTORだったら絶対に通らなかっただろうアイデアがバンバン詰め込まれている。それでいて本作、最後の曲において、全く別方向の驚愕の展開が待っているのだ!それはなんと・・・DARK ANGEL"Time Does Not Heal"のパクリである。「たまたま似ただけでは」って?いやいやギターの刻みとツーバスのシンクロとか、93年の時点でたまたまで似るわけないでしょ。しかもパクるにしてもまた難しそうなことを・・・。ひょんなことからPROTECTORを背負わされちゃった人たちが、その看板の上でやりたい放題状態である。ファンクとかレゲエとかヒップホップとかやらなかっただけ幸いと思うほかない。もっと恐ろしいのは、こんな有様であっても、クオリティは高いんですよ。賛否両論分かれてはいるようだけど、少なくとも元来のPROTECTORと別物と割り切れば秀作のレベル。先述のパクリはご愛嬌だなぁ。作品の性質上、将来的にはまた入手困難になる気がするので、興味のある人は今のうち押さえるだけ押さえたほうがいいかも。なお、このバンドは本作以降長らくオリジナル作品をリリースしなくなるが(デモを除く)、バンド自体は2003年まで解散することなく存続していたようだ。そこで一度ピリオドは打たれるものの、2011年に旧ヴォーカルのMartin Missyが復活させ、現在に至っている。