RUNNING WILD

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"Gates To Purgatory"RUNNING WILD

元祖海賊メタル、RUNNING WILDの記念すべきデビューアルバムで、発売は1984年。RUNNING WILDといえば勇壮で大仰ながらどこか牧歌的なメロディと曲調が最大の個性だが、実はそれが確立されたのは結構後。デビュー直後はそんなものは殆ど面影もなく、当時の他の若手ジャーマンメタル群の例に漏れず、ACCEPT影響直下のスタイルだった。それでいてスピードメタル指向が強く、ぶっちゃけ同期のGRAVE DIGGERやWARRANT(勿論ドイツの)のデビュー作と同じような感じ。またこの頃はロックン・ロルフ(G/Vo)の声域が狭く、低いトーンで歌う場面が主なのもあってか、全体的に暗く、どこかVENOMを思わせたりも。唯一"We are Running Wild"と高らかに謳うラスト曲"Prisoner of Our Time"のみが、後につながるものを感じさせるが、これもどっちかというとACCEPT直下型かもしんないなぁ。と、なんだかネガティブなレビューに受け取られるかもしれませんが、ジャーマンスピードメタルとしては大変格好良く必聴レベルなんで、先に名前を挙げたGRAVE DIGGERとかWARRANTとか好きなら買いですよ。

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"Branded and Exiled"RUNNING WILD

前作の延長から"あの"明るい海賊メタルの個性確立へと向かうのかと思いきや、なんと逆にダークな方に向かってしまった2作目のフルアルバム。1曲めの地獄の釜を開けたかのような"じゃ~ん"ってイントロからして、VENOMかBATHORYかと思いましたから。そして、前作以上にロックン・ロルフの歌のトーンが低い。もしかしたら喉の調子が悪かったとかもあるのかもしれませんが、単純にサタニックスラッシュメタル方面を模索していた可能性もありですねー。時代が時代ですし、所属レーベルのNoiseはHELLOWEENのイメージが強いけど一方でジャーマンスラッシュメタルの大手でもありましたし。後のRUNNING WILDしか知らない人が聴いて一番愕然とするアルバムかも。ただ、根本的なスタイルはやっぱりACCEPTですよ。あとJUDAS PRIESTからの影響の面影もありかな。速い曲とか"Rapid Fire"みたいですし。

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"Under Jolly Roger"RUNNING WILD

3作目のフルアルバムで1987年リリース。RUNNING WILDの御馴染みの"あの"音は、本作の冒頭のタイトル曲"Under Jolly Roger"で初めて幕を開けるといっても過言ではないだろう。アルバム全体としてはまだまだACCEPTからの影響は色濃いが、そのタイトル曲や後にリレコーディングされる"Beggar's Night"など曲単位では、既存のバンドの模倣の域を完全に脱している。何より、ロックン・ロルフの歌唱力の向上が著しい。後と比べればまだまだ粗いとはいえ、声域も格段に広がり、印象的なメロディを情感的に歌えるまでになってきている。極めるまでにはまだ道半ばとはいえ、ヘヴィメタルらしいヘヴィメタルが聴きたい人には必聴レベルの内容に仕上がっている。コアなスピードメタルマニアでない限り、このバンドはここから聴くのもいいかもしれませんねー。

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"Port Royal"RUNNING WILD

4作目のフルアルバムで1988年リリース。RUNNING WILDのスタイルは、事実上このアルバムでついに完成に至ったと言えるのではないか。ほぼ全曲においてACCEPTの影響下から脱却し、RUNNING WILD以外の何者でもない正に「海賊メタル」を披露している。そして本作でも聞き逃せないのが、さらに劇的な成長を遂げたロックン・ロルフの歌。ここまで来るともう粗さもなく、後年御馴染みとなるあのステキな歌声ですよ。また本作と次作では、IRON MAIDENあたりからの影響か?プログレマインド漂わす緻密なアレンジメントの楽曲にも挑戦。本作だと"Final Gate"がそれに該当する。彼らのこの若々しいチャレンジ精神はこの辺の時期でしか味わうことが出来ないので、彼らの歩みを探求するならばやはり見逃すことは出来ないだろう。パワーメタルという枠すらも超えたかなり濃度の高い作品だが、彼らはこれだけの作品すらも元手に、次作でついに究極の高みを目指すこととなる。

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"Death or Glory"RUNNING WILD

RUNNING WILDの最高傑作といえば、この作品であることに異論のある人は少ないだろう。絶賛されるだけある、本当に素晴らしい5作目のフルアルバムである。パワーメタル史上に残るであろう感動の大名曲"Riding the Storm"で幕を開け、以降も洗練を極めた一級品の曲が続いていく。そして高いテンションを保ったまま、全編を走りとおす。RUNNING WILDの個性のみならず、このバンドの持つスケール感が極まった一作と言えるだろう。そのスケール感に着目するにあたって特筆すべきは、やはり5曲目"Highland Glory"のプログレッシブ性、そしてタイトル曲"Death or Glory"の鮮やかさだ。正直こうした挑戦心を感じる曲は、後のアルバムでは聴かれなくなっていく。そうした面でも、一つの才能あるバンドが一丸となって頂点に駆け上っていく凄まじい熱量が詰まっているアルバムと言えるのではないか。恥ずかしながら僕は以前このアルバムをわりと適当に聴いてしまっており、その真価が全く見抜けなかったのだけど、いやはや、これはU.D.O."Timebomb"と並ぶ、90年前後のジャーマンパワーメタルの歴史的名盤でしょう。この後このバンドはここまでで培ってきたものを元手に、保守路線を歩んでいくわけですが、それも分かる気がする。SLAYERだって"Reign in Blood"を超えることは出来ないみたいなこと公言してるわけですし、RUNNING WILDもそれと同じような心境なのかも。とにかく、パワーメタルが好きな人、興味がある人は必聴!!