MASTER/VOMITOR/APOLOGIST

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"Master"MASTER

デスメタル黎明期の代表的なバンドの一つと語られることも多い、MASTERの1990年デビューアルバムなんですが・・・今回初めて聴いてびっくり。VENOMですよ。実にVENOMじゃないですか!確かそれなりに重く暗く黒いのでデスメタルの文脈で語られるのもアリかと思うけど、ヴォーカルは完全にクロノス直系でデスでもなんでもないし、曲もVENOM以降のスラッシュの範疇。その上でモロクソ格好いいので、デスメタルファンのみならず、黒く速く荒くれたメタルが好きな人全て必聴かとは思うけど、なるほど、年を経るにつれてデスメタルの世界でイマイチ認知度を保てなくなっていったのも分かる気がする。後のアルバムまだ聞いてないのでなんとも言えませんが、この音が後年のブルタル系の潮流についていけるかは、ちょっと想像出来ない。なにより1990年でこれだと、正直古いよね。デスメタルの範疇だと。ただ、それだからこそ、メタルパンクやブラックスラッシュを経た現在、改めて再評価されるべきでしょう。このアルバムのハイライトは、BLACK SABBATH"Childlen of The Grave"のカバーかも。御馴染みのイントロの後、驚きの展開が待ってます。まあこれは実際に聴いてもらいたいのでネタバレ避けますが、超カッコいいですよ。

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"The Escalation"VOMITOR

元BESTIAL WARLUSTのHellcuntを擁する、オーストラリア産スラッシュメタルバンドの3作目。2作目"Devil's Poison"は一応聴いてきてるけど、イマイチよく分からない音で、そのままにしてきてしまった。それに比べれば本作は曲展開にメリハリがあり、かなり分かりやすい。MORBID ANGELやMERCILESSといったデスメタル黎明期バンドのような曲を、初期SODOMのようなスカスカの音で演奏してる感じ。ただ、分かりやすいといっても、魅力を感じるかどうかはまた別であり、その辺は今回もなんか・・・うーん。一言で言ってキャッチーさをあまり感じないんだけど、本作をリリースしてるHELLS HEADBANGERSのアイテムってみんなそんな感じだし。そういうもの・・・なのかな?

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"Grimoire"APOLOGIST

東京のブラックメタルバンドの、多分通産6作目のアルバム。但しこのバンドは最初の2枚スタイルが違うので、ブラックメタルに移行してからは多分4作目となる。ブラックメタルって結構閉鎖、排他的な世界なんだけど、そんなムラ意識に囚われず凄く自由にやってるところに好感を持ち、これまでライブ行ったり聴いてきてるバンドだ。MAYHEMやBATHORY、IMPALED NAZARENEなどを彷彿とさせる正統派ブラックメタルだけど、ヴォーカルがHOLY TERRORの故Keith Deenっぽいブラックメタルでは非常にめずらしいタイプで(実際お好きなようで、カバーもやっている)、この声がこのバンドの最大の個性であろう。ブラックメタルの邪悪さを損ねることなく、非常にハマってるとも思うし。そしてブラスト手前のファストビートを安定して叩きだすドラムをはじめ演奏は非常に剛健。何よりその音から、ブラックメタルが純粋な音楽として好きなんだという気持ちがとても伝わってくる。

ブラックメタル移行後からこれまでは、同じような曲が多かったのが唯一の難点だったけど、今回はその辺も見事払拭していると思う。メロディックブラックとまでいかないまでも印象的な哀愁のフレーズを随所に配し、曲展開もドラマティックに練りこんでいるので、最後まで飽きることなく聴ける。隠れた良バンドなので、もうちょっと知られてもいいと思いますね。