ZEMETH/SCHONBERG/POISON ARTS/MALEVOLENT CREATION

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"Rouge Noir"ZEMETH

今年の私的ベストは、もうこれに決まったも同然だ。国産メタルシーンに彗星の如く突如降り立った北海道発のメロデスプロジェクト、ZEMETHのデビュー作。凄いぞ凄いぞこれは凄いぞ。特にゲーム音楽クラスタも兼ねてるような人は、いいか、耳かっぽじってよーく聴いておくれ。これ一言で表すなら、ズバリ

メロデス古代祐三

だー!!!

実際、ZEMETHというプロジェクト名はなんとイース6の「ゼメスの聖地」から。そしてイースの BGMのうちアップテンポの曲をメロディックデス/スピードメタルに作り変えたような曲がズラリと並ぶ(楽曲はカバーではなくしっかりオリジナルですよ)。中でも顕著なのが3曲め"Midnight Defloration"で、心高ぶらせる「あの」類のメロディが、メロデススタイルに乗せて洪水のように押し寄せる!

え?「あのぉ…それってメロデスとはいえデスメタルとしてどうなのよ」だって?まあ確かにその指摘は正しい(笑)。が!しかし!いーのこれに限ってはこれで!!だってイースからの影響を第一に挙げるようなミュージシャンが、メタル界に君臨するなんてさすがに想像もしなかったんだから。中学生の頃から30年近くのイーサー歴を誇るおぢさんは泣くしかないですよこんなの聴かされたら。いやあこれは本当たまらん。単体の音楽としては、もうちょっとイントロ、アウトロに尺が欲しいかなという気はする。ガーっと盛り上がる曲ばかりなので、アルバムとしてはもう少し押し引きが欲しいかなとも思う。しかしいつも言うことだけど、デビュー作は原初的な姿をとことん叩きつけてほしいから、今回はこれで申し分なし!既に2作目が製作中とのことなので、果たしてこのメロディメーカーっぷりを元手に、どんなものを作ってきてくれるか。今から楽しみでしょうがありません。いやあ、ワクワクしてまいりました!

 

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"Another Veiled Story"SCHONBERG

美麗ソプラノシンガー、Naru嬢を擁する日本の4人組の、2作目のフルアルバム。ANGRAやRHAPSODYなどからの影響を強く感じさせるシンフォニックスピード・メタルを聴かせる。本作は19世紀のオペラ座のあるプリマドンナの生涯を描くコンセプトアルバムとなっており、そのしっかりとした内容から、日本でもようやくこれだけまともなコンセプト作が作れるメタルバンドが出てきたんだなぁ…と感慨深い気持ちになる。日本って良くも悪くもメタル馬鹿バンド多かったからね。音楽自体も極めてハイクオリティ。強いて言えばNaru嬢の声がやや線が細いのと、幾箇所かで演歌臭いメロディが飛び出してくるあたりで、ちょっと好き嫌いわけるかな?何にせよ、今の日本のメロディックパワーメタルのレベルの高さを知る上でも、このアルバムは買って損はない。ライブも動画いくつか見る限り、色々な意味で凄そうだ。キーボードが、懐かしのTIANANOGUEっぽいかなと思ったり。

 

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"Lucky Jungle"POISON ARTS

80年代末~90年代初頭にかけて、オーバーグラウンドに食い込むほどの人気を誇ったジャパコアバンド、POISON ARTSの、9年ぶりとなるフルアルバム新作。アルバムとしては通算5作目なのかな?前作"Rising Sun"があまりにも腑抜けてしまってて失望したものだが、今作はブーム期にリリースされたヒット作"One Hundred Dragon"からの延長線上にある骨太な昭和メタルコアを聴かせてくれる。とはいえ、あの頃の切れ味の鋭さはさすがにもうない。平岡氏は加齢により出ない声を懸命に振り絞ってる感じだし、他の演奏群も同様だろう。しかし、それだからこそ、それでもやるのがパンクなんだ。そうした気迫は込められた一枚になってると思う。辛い社会の中で懸命にもがく自らの様を描き出した歌詞も、彼らをリアルタイムで追ってきた世代にとっては、とても心に寄り添ってくれるもの。良いアルバムだ。

 

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"The Ten Commandments"MALEVOLENT CREATION

長らく廃盤になってたMALEVOLENT CREATIONの初期3作がようやく再発。手がけたのは老舗Listenable Recordsなので、仕上がりも良く安心です。その3枚より、まずは1991年発表のデビューアルバムを紹介。デモ時代スラッシュ色が強かったことで知られるバンドゆえ、このデビューアルバムでもそんなスラッシュ色はやや濃いめに感じられる。ヴォーカルに至っては、完全にスラッシュの範疇の声だ。後のブルデスに繋がっていくUSデスメタルの隆盛期を、CANNIBAL CORPSEやDEICIDEと共に飾ったバンドだけど、彼らは一足後発だったこともあってか、その2バンドと比べるとやや整った曲をやってる印象を受ける。とは言え十分カオスな曲展開なんだが、そうした楽曲をキャッチーさを失わずにまとめ上げる作曲力は大したものだ。2作目と共に、クラシックと呼ぶにふさわしい初期USデスの金字塔的作品。

 

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"Retribution"MALEVOLENT CREATION

1992年発表の2作目のフルアルバム。今作よりヴォーカルが完全にグロウル路線にシフト、完全にデスメタルになりきった。基本1作めの延長線上の作風だが、楽曲はややストレートなものになり、所謂ツタツタの疾走パートも多い。一方で当時旋風を巻き起こしていたPANTERA風の重々しいグルーヴが取り入れられている。もっともあくまで一要素なので、彼ら本来のスピード感を損ねるようなことにはなってない。本作はバンドとしてのヴィジョンが完全に定まったものが伺え、とにかく完成度が高い。DEICIDEの2作目などと共に、USデスメタル隆盛期の金字塔的作品と捉えて差し支えないだろう。僕自身、リリース当時はよく聴きました。これは買いだ!

 

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"Stillborn"MALEVOLENT CREATION

1993年リリースの3作目。一応はこれまでの延長線上で作られているものの、本作ではこれまでの1,2作目と明確に異なった色彩を打ち出しているように感じる。一言で言ってしまえば、メジャー感。1曲めとか当時のレーベルメイトであったSEPULTURAを意識したかのようだし、楽曲展開にしろ個々のフレージングにしろ、より普遍的な進化を遂げているように思える。それゆえに前作までのような熱り立った禍々しさは減退しており、リリース当時は「腑抜けてしまった」とかなり失望したものだが、変な固定観念や先入観をとっぱらって対峙すると、前作からさらに一段上のステージを果たした優れた作品であることが分かる。MALEVOLENT CREATIONに最初触れるには向いてない作品だと思うが、1,2作目を通過してから聴くと、実に味わい深くじっくり楽しめるものと思う。なので、今回の再発は他の2枚と一緒にまとめて買ってしまいましょう。