コミケ中のBGM

夏コミは3日間全部参加したんですが、回ってる間常に耳にイヤホン突っ込んでました。そのBGMの中でやっぱいいなあと改めて認識させられたのが、下記。

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基本テクノ系は嫌いなんだけど、SOFT BALLETとかBRAIN DRIVEとか、要は素人でもすぐとっつける国産メジャーのこういうグループは昔から大好きで。もっともBRAIN DRIVEはこれまで"Brain Washing"限定だった感じなんだけど、今回"完全驚異"もあわせて2枚聴き込んだら、今まで見えなかった良さが見えてきた感じなので、これ以降のアルバムも帰ってきてから注文しました。"Higher"とか昔一度聞いて、なんかB'zみたいで好きになれなかった記憶なんだけど、今はどうか…。

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おなじみサテライトヤング。BRIAN DRIVEからの流れで、ビッグビートはないにしてもエレポップっぽいの自分のスマフォの中にないかなーと思って探したら、あったのがこれ。まあこれは、今年ベスト5圏内に入るくらいには気に入ってますので。

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BLIND GUARDIANって5枚目までのスピードメタル期限定のファンなんだけど、その中でも2枚めの良さは長らくわからず、またそうした人はきっと多いと思う。しかし視点を変えればこのアルバムだって十分に秀作であり、またその理解こそ、BLIND GUARDIANの成長の経緯を真に理解する糸口でもある。要はスラッシュメタルなのだ。以降の作品のような複雑な展開は用いず、どちらかというとリフ主体で組み立てられた楽曲は。例えば同じドイツのPARADOXのデビュー時とかを思い浮かべながら聴くと、結構ピンと来るのではないだろうか。後のこのバンドの合体ロボアニメさながらのシャキン!シャキン!とキマってくカッコよさは、やはりスラッシュメタル由来だったのだ。

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長年聴けば聴くほど凄みがにじみ出てくるバンドってそうはない。僕にとってはROSENFELDがまさにそれで。楽曲の完成度は間違いなく国産スラッシュメタル最高峰。ただ、アルバム一枚で終わっちゃったバンドだけどね。今なお聴けば聴くほど驚くようなカッコ良さが再発見出来る。

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一日目、これの新譜が出てたっつうのに、忘れちゃってねぇ…委託で出るっていうから、そっちで買うか…。

SIN OF GOD/SKULLTHRONE/HUMANITAS ERROR EST/THE HELL/FUNEBRIA/SACRED SIN

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"Aenigmata"SIN OF GOD

ハンガリーデスメタルバンドの2作目。結成は2004年だそうだが、前身バンドを含めると歴史は1999年までさかのぼるらしい。所謂US系デスメタルのスタイルで、MORBID ANGELやNILEあたりを彷彿とさせる。リフのセンスがこの手のバンドにありがちなこれ見よがしに奇怪なものではなく、BLACK SABBATHの流れを汲む素朴めなものなので、この手のバンドとしては非常に聴きやすい。一通り聴き終えた感想としては、もはやこの手のデスメタルはトラディショナルなものとして捉え作られているんだなぁ…といったものだ。過激さを追い求めた末の落とし子として生まれたデスメタルは、今やじっくり丁寧に聴き込んで楽しむ鑑賞品となったのだ。というわけで、黎明期のバンドみたいな熱り立った禍々しさはあんまないですが、間違いなく高品質盤なので、この手のデスメタルが好きな人ならまず楽しめるでしょう。僕も結構気に入った。

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"Biomechanical Messiah"SKULLTHRONE

コロンビア産4人組の2015年リリースのデビューアルバム。タイトルどおりBIOMECHANICALみたいなジャケ絵ですが、内容は全く違います。イントロのジャムセッションみたいなのが終わると即、怒涛のグラヴィティブラストが炸裂!その後の楽曲もおよそ7割くらいはブラストで埋め尽くされることになりますが、典型的デス/グラインドにはちょとあてはまらない。というのも、ギターが結構独特。一応タイプを言い表すならば、初期KREATORや"Deathcrush"の頃のMAYHEMみたいな、かきむしるような音なのだけど、それだけでは言い表しきれていない。今オーストラリアにVOMITORというバンドがいるけど、あんな感じかも。そんなエクストリームなブラストと、ローファイなブラック/スラッシュ系のリフの組み合わせは中々見られないものであり、好き嫌いは分けそうな気がするけど、僕は結構好きだな…。

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"Human Pathomorphism"HUMANITAS ERROR EST

ドイツから登場のちょっと衝撃的なブラックメタルバンドのデビュー作。ブラックメタルと一言で言っても様々なタイプがあるわけだが、このバンドは"Wolf's Lair Abyss"や"Chimera"の頃のMAYHEMを強く思わせる。音のスタイルとしてはMARDUKやDARK FUNERALの影響も大きそうではあるが、この虚無感と絶望感に満ちた無慈悲なムードは、MAYHEMのあの辺に近い。そうした趣向の音を、かなり高い完成度で聞かせてくれるのが、このアルバムだ。演奏力もサウンドプロダクションも申し分なし。さらに特筆すべきは、このバンド、なんと男女ツインボーカルの6人編成である。音が音なんでCDでは効果がわかりにくい(というか、全く聞き分けがつかない)が、ライブではきっとびっくりするようなパフォーマンスを繰り広げてくれるのだろう。発売元もかなりプッシュしているバンドだそうで、あとは上手く飛躍のチャンスを掴めれば、かなりのスターバンドになるのかも。時代の旗手となれる可能性を秘めた新人の登場である。今後が楽しみだ。

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"Wellcome to..."THE HELL

セルビアの5人組デスメタルバンドの2015年リリースのデビューアルバム。まず、タコ足+ヘビの尾っぽ人間というマジなのか冗談なのか分からないジャケットで目を惹き、ブックレット内のフォトセッションでの8弦ギタリストとただならぬ佇まいのヴォーカルが、否応なしに内容への期待を高めてくれる。そうして再生ボタンを押して飛び出してくる音は…一聴して普通のUS系デスメタル。しかし、典型的なそれ系とは、何かムードが違う。ていうか、なんかノリ良くないですか?特段そういうリズム用いてるわけでもないのに。そういえば、この手の音としては不可欠とも言えるツーバス連打の圧搾感や過剰なマッチョ感が希薄。ギターリフにユーロスラッシュの面影がうっすら残ってるのも、ノリ良く感じる理由の一つなのかもね。実に辺境産らしいヘンな持ち味のバンドですが、曲は非常に丁寧に練り込まれてて、イモ臭さは一切なし。質と個性を兼ね備えた、いいアルバムだと思います。

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"Dekatherion-Ten Years of Hate & Pride"FUNEBRIA

ベネズエラブラックメタルバンドの2015年リリース2作目。ジャケットからしてもうMARDUKっぽく、そういうのが好きな人の期待をそそるところですが、その期待を裏切らないブラスト全開ブルータルブラックメタルをしっかりと聴かせてくれます。ちょっとデスメタル寄りかな?しかし実のところ、そんなところどうでもよく…このバンド、ヴォーカルが別の意味で凄すぎる。ブラックメタルバンドとしてはあるまじきほどに邪悪さゼロの、単なるKENZENな金切り声!!スラッシュメタル系にはよくいるタイプですが、そういうのをそのままこういうブルータルな音にのっけてしまうとは…ごめん、「ダサい」の一言。これが何かケミストリーを生み出していれば勿論賞賛しようもあるんですが、これでは怒涛のバッキングの中でもがいてるようにしか聞こえません。バンドは、聴き手が何を求めてこういう音を聴くのか、一度考えたほうが良いと思いますが…とか書いてる横で近況調べたら、なんとヴォーカル交代してるのね。であれば今後には期待出来る。演奏は申し分ないし、メロディアスなGソロを盛り込んだ曲も悪くないですしね。

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"eye m god"SACRED SIN

現在も活動を続けるポルトガル産デス/スラッシュバンドの1995年リリース2ndアルバム。今回僕が買ったのは2015年の再発盤だが、わざわざ再発されるだけある。イントロに引き続き、かつてのMERCILESSを思わせる怒涛のデスラッシュが炸裂!!ウェットなリフやGソロを聴かせたり、BATHORYやMORBID ANGELを思わせる不穏なKeyを被せたり、パワーメタル風の曲も披露したりと、曲作りのアイデアもかなり豊富だ。世間一般ではデス扱いのようだし、実際MORBID ANGEL以降のセンスも少なからず感じ取れるのだが、個人的にはこういうのはスラッシュ枠で受け取りたいなぁ。DESTRUCTIONっぽいリフもあるし。いや、これはマジでカッコいい。

JUNTESS/EVIL BORN/DALKHU/CONCEIVED BY HATE/COMATOSE/MANIPULATED

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"Under the Red Moon"JUNTESS

90年前後にかけて、東京にて活動した昭和メタルコアバンド、JUNTESSの唯一のフルアルバムがこの度再発。以前はCDのみでのリリースだったが、今回の再発はLPのみ。おいおいおい…とも思うのだが、後に残すことを考えたらこれからはLPのほうがいいのかもね。CDは近年とにかく欠点が浮き彫りになってきてるので…。輪郭の明確な楽曲と、メタルプレイヤーとしても相当な技量のあるギター氏のソロプレイが非常に印象的なサウンドで、POISON ARTSやGASTUNKといった一連の昭和メタルコアと言われるバンドが好きであれば、これも文句なしに買い。ギターリフはギター氏が現在在籍しているHAZARD同様、硬質なコードの壁で埋めつくすタイプで、その辺はPOISON ARTSあたりとは大きく異なるか。

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"Throne of Insanity"EVIL REBORN

ベネズエラ産5人組デスメタルバンドのデビューアルバム。基本はアメリカ系の音だが、リズミックかつグルーヴィにぐるぐるする場面と、スラッシーにツタツタと突っ走る場面を交互に繰り返す。ブラストはないわけではないが出番は非常に少ない。正直心に強くひっかかるフレーズがそうあるわけでもないし、ぶっちゃけ地味なのだけど、それでも捨て置けないのは、ライブでは映えそうな気がするから。まあベネズエラのバンドですからライブ見る機会があるとは思えないんですけどw泥臭さは少ないので、デスメタルの中でもそういう方が好みの人にはいいかもね。

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"Descend...Into Nothingness"DALKHU

スロヴェニア産コンビ編成ブラックメタルバンドの2作目のアルバム。まず耳を惹くのが、デスメタルと解釈すべきか迷うほどに重厚な音像だ。このブ厚さは、ARES KINGDOMを彷彿とさせる。あと、なんとなくノルウェーHADESとかも思い出したね。そうした上で、もの悲しい旋律でもって、荒涼とした音世界が厳かに響き渡る。ファストビートやブラストビートの場面もなくはないのだが、決してそれらにただ頼ることなく、じっくり丁寧に紡がれていく。これぞ本物の芸術品だ。確かにバーっと爆発して、あー楽しかったで終わる明快な嗜好品も良いのだけど、たまにはこういうじっくり対峙出来るものにも目を向けないとね。こういうのが少なくないから、ブラックメタルって底知れない。これは末永く愛聴していく一枚になりそう。

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"Death & Beyond"CONCEIVED BY HATE

エルサルバドル産5人組バンドの2作目のフルアルバム。これが結構解釈に困る音をやってる。スウェディッシュ系デスメタルか?スラッシュメタルか?ギターの音作りや楽曲の大枠はスウェデスっぽいのだが、ギターのリフとドラムが結構スラッシュノリ。ということはDESULTORYみたいなやつか?うーん、あれともまた違う感じで…。ただ、やってる当人達のマインドとしては、多分スウェデス寄りなんじゃないかなあと、なんとなく推測してみたり。成分で表すなら、スウェデス6:スラッシュ4くらいか。ただ、スウェデスメイニアのお眼鏡にかなうものかどうかは知りませんよ。その要素のさじ加減はちょっとユニークなんだけど、完成度的にはまだまだかなぁ…と。モダンメタルめな音像へ切り替わる展開もあったりするので、単にバンドとしてブレがあるだけかも。こういうのはメタル馬鹿をどれだけ突き詰められるかが勝敗の分かれ目ですので。

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"The Ultimate Revenge"COMATOSE

フィリピン産デスメタルバンドのデビューアルバム。まず、懐かしいバンドのロングスリーブシャツが燦然と輝くメンバー写真に目が行く。ASPHYX!NOCTURNUS!BENEDICTION!音の方もそこから湧き上がる期待を裏切ることのないものを聴かせてくれる。ただ、それらのバンドに似てるというわけではなく、その時代を強烈に思い出させるという意味でなんだけど。あちらこちらで詰まりを起こしてるかのような唐突な曲展開を繰り返す、とっても流れが悪くもっさりとした音!ブルデス前夜のREPULSEレコードあたりでこういうのが多く生息していたような気がしますよ。しかもスタイルのみならず、あの当時のそうしたバンド群の禍々しさと怪しさをそのまま現在に蘇らせてるのが凄い。本当にこれ、最近のバンドなのか。メンバー実はアラフィフとじゃないのか。思うに、オールドスクールデスメタルをメンバー一同相当聴き込んでるのだろう。NWOBHM、80年代メタル、スラッシュメタルに続いて、こういうのもいよいよビンテージの時代となってきたのだ。そういう意味では現在最先端を行くバンドかもしれない…ホントかw

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"Ecstasy"MANIPULATION

ポーランド産5人組デスメタルバンドの3作目のフルアルバム。エフェクトとグルーヴ、リズミックなビートをふんだんに盛り込んだモダンめな音で、その辺は正直僕にとっての苦手科目なベクトル。しかし本作に関しては特段アクを感じることもなくかぶりつきで楽しんでしまった。それはファストやブラストビートの場面が多いというのもあるし、またそのスピード感をむやみに分断することなく、なだらかで気持ちの良い曲作りがなされているからだろう。なにより毎度のありきたりの表現になるが、すこぶるキャッチーだ。ぶっちゃけ、あまりマニアックな志向ではなく、ポピュラリティに目標を定めているバンドだと思う。VADERとかBEHEMOTHとか出してるお国柄だしねー。音質とか演奏面は全く申し分なし。総合的にかなりの高品質盤。

INHUMAN/GROTESQUE CEREMONIUM/DEMONIC OBEDIENCE/BESTIAL DEFORM/ACHERONTE/GLOOMY GRIM/THE SARCOPHAGUS/ALASTOR SANGUINARY ENBRYO

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"Conquerors of the New World"INHUMAN

コスタリカ産テクニカルデスメタルバンドの2作目。後期DEATHやアルバム前のCYNIC、初期ATHEISTの手数が多いところだけを抽出して、ブルータルめに再構築したかのような音を聴かせる。SFモチーフということで、NOCTURNUSとかもを思い出すところだが、確かにあの辺も彷彿とさせるムードは漂ってる。が、全樂器の手数はあれよりも倍くらいある(笑)。んーなんつか、技巧面ではそれなりに凄いと思うのだけど、芸術としてのレベルはまだまだだなーと思う。NOCTURNUSとかATHEISTみたいに、音楽として引き込まれるところがないというか…。ところで、ジャケットの絵は離れて見るとそれなりにカッコいいけど、近くで見ると初期プレステ並のCGでたまげるぞい。

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"Demonir Inquisition"GROTESQUE CEREMONIUM

トルコの一人デスメタルのデビューフルアルバム。これは中々凄いぞ。INCANTATIONのドス黒さにAUTOPSYのドゥーミーさをかけ合わせたような、とことん重々しく暴虐的な音を聞かせてくれる。アンサンブルはこの手の音として優秀といえるレベルでどっしりキマっており、本当にこれドラム打ち込みの一人メタルなのかと、にわかに信じがたい。楽曲の質もそこそこ良好で、頭からラストまでしっかり楽しく聴き通せる。聴き手をかなり選ぶタイプの音だとは思うんだけど、キッツいデスメタルが好きな人なら、買ってまず損はないんじゃないでしょうか。

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"Nocturnal Hymns to the Fallen"DEMONIC OBEDIENCE

イギリスの一人ブラック/デスメタルの2ndアルバム。これも一人メタルかよ!でもってこれも凄いぞ。ジャケットに違わぬ破滅的な漆黒世界を描き出す音像なのだけど、とにかく曲展開がめまぐるしいほど起伏豊かで、しかも巧み。全体としてはブラストも多用しかなりブルータルなのだけど、そんな中スラッシュ風に切り込んでみたり、メロディが飛び出してきたりが、かなり絶妙なタイミングでかまされる。一人メタルかつギターオリエンテッドで、この表現力の豊かさと楽曲の構築力、ただただ恐れ入るばかりだ。それにしても、ドラムの打ち込みも含めて、一人でここまで遜色のないものを作れる時代になってるんですねぇ。これなら、作りたいものの像さえしっかりしていれば、バンドやる必要はないんだろうね。かなりの秀作。おすすめです。

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"...Ad Leones"BESTIAL DEFORM

ロシア産4人組デスメタルバンドのこれが5作目。なんと1990年から活動しているようで、この手のバンドとしては大変長い歴史を誇っている。それだけ長い活動しているバンドだと、やはり自らの個性に対する意識が高い。ベースとなっているのは重々しいUS系デスメタルで、察するに、MORBID ANGELフォロワーから始まったバンドではないかな?という気がするのだが、デスメタルの典型とはまた違った形での「ヘン」さが、随所で見受けられる。キャッチーなのはこの手のバンドとしてある意味当たり前だが、なんというか、ほんのりとリズミックというか、ポップ…は言い過ぎか。ある意味プログレっぽいのかもしれない。そうした個性が魅力として完全昇華されているかといえば、うーん、今一歩!というところなのだが、独自のデスメタルに挑む姿勢は買える。

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"Ancient Furies"ACHERONTE

イタリア産4人組ブラックメタルバンドのデビューアルバム。オリエンタルなメロディのイントロが終わると一転、ブラスト全開のブルータルブラックメタルが炸裂する!基本MARDUKフォロワーだと思うが、ドラムがつんのめったノリなので、SARCOFAGOっぽさを感じたりもする。これはバンドが意図しているものなのか、それとも単にドラムの力量不足なだけなのかが気になる。特段個性はないにしても、ストレートでスカっと出来るブラックメタルを探してる人であれば、買って損はないのではなかろうか。

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"The Age of Aquarius"GLOOMY GRIM

フィンランド産5人組ブラックメタルバンドの、2016年リリースの6作目のアルバム。ブラックメタルマニアの間では結構有名なバンドだそうです。知らなかった。でもって経歴を調べたら、なんと長年あのフランスのHoly Recordsに在籍していたんですね!となればさぞかし個性的な暗黒エクストリームメタルを聴かせてくれるかと思いきや、基本路線はストレートなシンフォニックブラックメタル。但し味付けは辛目で、丁度EMPERORとCRADLE OF FILTHの間の子みたいな感じかしら。Keyは過剰に出張ることなく、ギターと共に重厚さに寄与している感じ。プログレ性とかアヴァンギャルド性は皆無なので、元Holy在籍という経歴に惹かれて聴くと肩透かしかもかも。ただ、後に聴き進めるほどに深淵に落ち込むような暗さが深まり、そういうところはHolyらしいのかもね。高品質なのは分かるけど、個人的にはイマイチピンと来てない。もう少し聴きこむ必要ありか…。

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"Beyond This World's Illusion"THE SARCOPHAGUS

トルコの3人組(+セッションドラマー)編成バンドの2作目のフルアルバム。ジャケット絵はブルデスっぽいですが、音はブラックメタルです。前作デビューアルバムはかのOsmoseからのリリースだったそうです。ブラストでかっ飛ばすMARDUKタイプのスタイルだけど、とにかくあちらこちらに90年代のブラックメタル隆盛期のバンドへの憧憬がにじみ出てて、聴いててちょっとニヤっと出来たりします。MAYHEMとかDISSECTIONっぽいフレーズが飛び出してきたりね。しかし、それ以上の煌めきが感じられないのが辛い。演奏面はさすがの達者っぷりだし(特にDESTRUCTION風の絡むリフをフルピッキングで叩き出すあたりとか)、曲も工夫して練ってはいるのだろうけど。前作はどうなんかねー。ぬーん。

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"For Satan and the Ruin of the Divine"ALASTOR SANGUINARY ENBRYO

アルバムタイトルもバンド名もやたら長くて打ち込むのが大変な、コスタリカブラックメタル5人組の3作目のフルアルバム。CRADLE OF FILTHとDARK FUNERALをかけ合わせたようなシンフォブラックで、かなり頑張って作っていると思う。"Nemesis Divina"の頃のSATYRICONなども彷彿とさせる1曲めの時点で強く耳を惹かれるが、それ以降も飽きずに楽しめる曲が続く。特に仰々しいラスト曲は圧巻!!パワーメタルっぽいツインリードのフレーズが何箇所かで切り込んでくるのも、聞き所の一つかな。特段個性があるわけではないし、録音はチープだし、決して垢抜けてもいないのだけど、辺境の地からの本場への憧れに突き動かされて作られたようなこういうアルバムは、本場の一流どころにはない、特有の熱い魅力があるものです。とはいえ、録音はあと一ランク上のレベルを望みたいけどね。Keyがスポイルされてるのがちょっともったいないので。自主制作の過去作も聴いてみたいな。

DESULTORY/EPIDEMIA/COLDBLOOD

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"Through Aching Aeons"DESULTORY

スウェディッシュ・デスメタルの老舗、DESULTORYの最終作がついにリリースとなった。これまで彼らの作品を全て通ってきたようなファンなら、まずそのアグレッシブ極まりない作風に驚くことだろう。まるで往年のCARNAGEやUNCANNYのようだ。これまでのDESULTORYの持ち味であるメロディや展開のドラマ性を保ちつつも、決して用いてこなかったブラストもいくつかの場面で導入し、頭から最後まで前のめりに一気に突っ走る。ただラスト曲は、バンドの最終章を飾るべくクライマックスな展開があり、そんな全体アルバム構成としては、かのジャパニーズハードコアの金字塔、DEATH SIDE"Bet on the Possibility
"を彷彿とさせる…なんて考えているのは僕だけだろうか?

DESULTORYってスウェディッシュデスの中でもゆったりと走る感じだったこともあって、今回の音はこれまでとかなり毛色が違うものを感じる。やはり最後ということで、これまでやらなかったやりたいことも一気に吐き出してしまおうということか。そう考えると、本作は潔さというよりもむしろセンチメンタルなムードを感じてしまうが、まあそれはバンドが全力を出しきって有終の美を飾れている証でもあって。思えばアルバム毎にいつも新たな挑戦をしてきたバンドだしね。いいバンドだったと思います。バンド自体は現在も存続しているようですが、作品制作はこれが最後ってことかな?お疲れ様でした!

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"Leprocomio"EPIDEMIA

近年、小国、途上国のデスメタルが熱いというのは本当なのだろう。本作はエクアドルのバンドの2作目である。初期CANNIBAL CORPSEをより近年向けにアップデートしたようなデスメタルを聴かせてくれるが、所謂ブルデスではなく、オールドスクールギリギリで踏みとどまってる感じ。何にせよ、楽曲、演奏力ともにかなり高いものを感じる。この手のドロドログチャグチャとしたグロテスクな音楽は、そうだからこそ実はキャッチー感が肝要と考えているのだが、そうした点も優れている。上手い演奏の上にフレーズや展開に印象的なフックがあるとやっぱり聴いてて気持ちがいいですね。35分というアルバムの尺も丁度いい。特段個性はないにしても、デスメタルが好きであればまず楽しめる作品じゃないだろうか。

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"Indescribable Physiognomy of the Devil"COLDBLOOD

結成1992年、アルバムデビューは2007年という、長い下積みの歴史を持つブラジルのバンドの、2016年フルアルバム。ブラジルって海外に飛び出してるバンドは本当優れたポピュラリティを伴ってるんだけど、それが叶わなかったバンドは、ドメスティックなアクの強さが結構強烈だったりする。まあそれがかのMYSTIFIERみたいな怪しい持ち味に結びつくこともあるのだけど…。このCOLDBLOODもまさにそれで、ブルータル志向にもメロディ志向にもなりきれない、US系にもユーロ系にもなりきれない、ものっすごくマイナー臭を発散するデスメタルを聴かせてくれる。随所でメロディがあったり、ドゥーミーな展開を交えたりもするが、キャッチー感は皆無。果たしてこの煮え切らない音をそのMYSTIFIERのようなものと解釈するか?その辺で、評価をはっきり2分しそうな気がする。90年代前半のアンダーグラウンドにわんさとあったなぁ、こういうの。メタルにスカっとしたものを求める人は、聴いちゃいけません。

ZEMETH/SCHONBERG/POISON ARTS/MALEVOLENT CREATION

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"Rouge Noir"ZEMETH

今年の私的ベストは、もうこれに決まったも同然だ。国産メタルシーンに彗星の如く突如降り立った北海道発のメロデスプロジェクト、ZEMETHのデビュー作。凄いぞ凄いぞこれは凄いぞ。特にゲーム音楽クラスタも兼ねてるような人は、いいか、耳かっぽじってよーく聴いておくれ。これ一言で表すなら、ズバリ

メロデス古代祐三

だー!!!

実際、ZEMETHというプロジェクト名はなんとイース6の「ゼメスの聖地」から。そしてイースの BGMのうちアップテンポの曲をメロディックデス/スピードメタルに作り変えたような曲がズラリと並ぶ(楽曲はカバーではなくしっかりオリジナルですよ)。中でも顕著なのが3曲め"Midnight Defloration"で、心高ぶらせる「あの」類のメロディが、メロデススタイルに乗せて洪水のように押し寄せる!

え?「あのぉ…それってメロデスとはいえデスメタルとしてどうなのよ」だって?まあ確かにその指摘は正しい(笑)。が!しかし!いーのこれに限ってはこれで!!だってイースからの影響を第一に挙げるようなミュージシャンが、メタル界に君臨するなんてさすがに想像もしなかったんだから。中学生の頃から30年近くのイーサー歴を誇るおぢさんは泣くしかないですよこんなの聴かされたら。いやあこれは本当たまらん。単体の音楽としては、もうちょっとイントロ、アウトロに尺が欲しいかなという気はする。ガーっと盛り上がる曲ばかりなので、アルバムとしてはもう少し押し引きが欲しいかなとも思う。しかしいつも言うことだけど、デビュー作は原初的な姿をとことん叩きつけてほしいから、今回はこれで申し分なし!既に2作目が製作中とのことなので、果たしてこのメロディメーカーっぷりを元手に、どんなものを作ってきてくれるか。今から楽しみでしょうがありません。いやあ、ワクワクしてまいりました!

 

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"Another Veiled Story"SCHONBERG

美麗ソプラノシンガー、Naru嬢を擁する日本の4人組の、2作目のフルアルバム。ANGRAやRHAPSODYなどからの影響を強く感じさせるシンフォニックスピード・メタルを聴かせる。本作は19世紀のオペラ座のあるプリマドンナの生涯を描くコンセプトアルバムとなっており、そのしっかりとした内容から、日本でもようやくこれだけまともなコンセプト作が作れるメタルバンドが出てきたんだなぁ…と感慨深い気持ちになる。日本って良くも悪くもメタル馬鹿バンド多かったからね。音楽自体も極めてハイクオリティ。強いて言えばNaru嬢の声がやや線が細いのと、幾箇所かで演歌臭いメロディが飛び出してくるあたりで、ちょっと好き嫌いわけるかな?何にせよ、今の日本のメロディックパワーメタルのレベルの高さを知る上でも、このアルバムは買って損はない。ライブも動画いくつか見る限り、色々な意味で凄そうだ。キーボードが、懐かしのTIANANOGUEっぽいかなと思ったり。

 

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"Lucky Jungle"POISON ARTS

80年代末~90年代初頭にかけて、オーバーグラウンドに食い込むほどの人気を誇ったジャパコアバンド、POISON ARTSの、9年ぶりとなるフルアルバム新作。アルバムとしては通算5作目なのかな?前作"Rising Sun"があまりにも腑抜けてしまってて失望したものだが、今作はブーム期にリリースされたヒット作"One Hundred Dragon"からの延長線上にある骨太な昭和メタルコアを聴かせてくれる。とはいえ、あの頃の切れ味の鋭さはさすがにもうない。平岡氏は加齢により出ない声を懸命に振り絞ってる感じだし、他の演奏群も同様だろう。しかし、それだからこそ、それでもやるのがパンクなんだ。そうした気迫は込められた一枚になってると思う。辛い社会の中で懸命にもがく自らの様を描き出した歌詞も、彼らをリアルタイムで追ってきた世代にとっては、とても心に寄り添ってくれるもの。良いアルバムだ。

 

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"The Ten Commandments"MALEVOLENT CREATION

長らく廃盤になってたMALEVOLENT CREATIONの初期3作がようやく再発。手がけたのは老舗Listenable Recordsなので、仕上がりも良く安心です。その3枚より、まずは1991年発表のデビューアルバムを紹介。デモ時代スラッシュ色が強かったことで知られるバンドゆえ、このデビューアルバムでもそんなスラッシュ色はやや濃いめに感じられる。ヴォーカルに至っては、完全にスラッシュの範疇の声だ。後のブルデスに繋がっていくUSデスメタルの隆盛期を、CANNIBAL CORPSEやDEICIDEと共に飾ったバンドだけど、彼らは一足後発だったこともあってか、その2バンドと比べるとやや整った曲をやってる印象を受ける。とは言え十分カオスな曲展開なんだが、そうした楽曲をキャッチーさを失わずにまとめ上げる作曲力は大したものだ。2作目と共に、クラシックと呼ぶにふさわしい初期USデスの金字塔的作品。

 

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"Retribution"MALEVOLENT CREATION

1992年発表の2作目のフルアルバム。今作よりヴォーカルが完全にグロウル路線にシフト、完全にデスメタルになりきった。基本1作めの延長線上の作風だが、楽曲はややストレートなものになり、所謂ツタツタの疾走パートも多い。一方で当時旋風を巻き起こしていたPANTERA風の重々しいグルーヴが取り入れられている。もっともあくまで一要素なので、彼ら本来のスピード感を損ねるようなことにはなってない。本作はバンドとしてのヴィジョンが完全に定まったものが伺え、とにかく完成度が高い。DEICIDEの2作目などと共に、USデスメタル隆盛期の金字塔的作品と捉えて差し支えないだろう。僕自身、リリース当時はよく聴きました。これは買いだ!

 

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"Stillborn"MALEVOLENT CREATION

1993年リリースの3作目。一応はこれまでの延長線上で作られているものの、本作ではこれまでの1,2作目と明確に異なった色彩を打ち出しているように感じる。一言で言ってしまえば、メジャー感。1曲めとか当時のレーベルメイトであったSEPULTURAを意識したかのようだし、楽曲展開にしろ個々のフレージングにしろ、より普遍的な進化を遂げているように思える。それゆえに前作までのような熱り立った禍々しさは減退しており、リリース当時は「腑抜けてしまった」とかなり失望したものだが、変な固定観念や先入観をとっぱらって対峙すると、前作からさらに一段上のステージを果たした優れた作品であることが分かる。MALEVOLENT CREATIONに最初触れるには向いてない作品だと思うが、1,2作目を通過してから聴くと、実に味わい深くじっくり楽しめるものと思う。なので、今回の再発は他の2枚と一緒にまとめて買ってしまいましょう。

DESULTORY

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"Counting Our Scars"DESULTORY

90年代初頭、Metal Bladeとのビッグディールを得て華々しくデビューしたものの、パッとしないまま一度は消えていったスウェディッシュデスメタルバンドの、2010年復活作。パッとしなかったといってもデビュー作”Into the Eternity"は中々優れたデス/スラッシュアルバムで、僕は結構愛聴させてもらった。この復活作は、その”Into the Eternity”をアップデートしたような内容、仕上がりで、おぢさん聴いてて思わず顔がにやけてきてしまいましたよ。禍々しさよりもキャッチーさが際立つリフといい、ボトムをどっしりと支える強靭なリズム隊といい、情感たっぷりに泣いてはいるんだけどプリングオフ、ハンマリングを多用した手癖くさいギターソロも、あの頃そのまま。それらに加えて、デスメタル以前のオーセンティックなメタルから少なからず滋養を得ているのが、本作の特徴であると思う。その辺は丁度CARCASSの”Surgical Steel”に近い。あそこまでのスケール感にはさすがに及んでないにしても、オーセンティックなメタルへの色気を匂わせながらデスメタルの枠を結局突破できないまま朽ちてしまったDISMEMBERとかより、よっぽど実のあるものが作れてるんじゃないだろうか。かつてこのバンドを好んで聴いていた人には、是非とも聴いて欲しい復活作だね。絶賛までは出来ないにしても、中々素晴らしいですよ。

ちなみにこのバンドは近日中に復活作をリリースするが、なんとこのアルバムが最終作になってしまうそうで。