UNIVERSE/AION

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■"Universe"UNIVERSE

スウェーデン産正統派メタルバンドの、北欧メタルの秀作として知られている1985年作デビューアルバム。北欧メタルというとTNTのような透明感のあるアリーナハードロック寄りのタイプか、SILVER MOUNTAINのようなRAINBOWからの流れを感じさせる様式美寄りかのいずれかに分かれる感があるのだが、このUNIVERSEはその中間に位置するように思う。PRAYING MANTISRATTの登録を頑なに拒んでいることで知られるあのMETAL ARCHIVESでもしっかり登録されていることからも分かるかもしれないが、ハードロックというより完全にヘヴィメタルバンドである。スピーディな曲が多く、その辺IRON MAIDENからの影響をモロに感じさせるが、その一方、北欧らしい透明感もほのかに漂わせる。単純にカッコいい音なので、オーセンティックなメタルが好きな人であれば買って損をすることはないだろう。正直神盤とまでは思わないが、秀作には違いない。何かと"Rollin'On"がもてはやされることが多いが、個人的には"Angel"も好きだ。

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■"Human Griefman"AION

残念ながら元メンバーとの法的紛争が露呈し、自身の活動の停止のみならず、関連バンドのMEINKANPFの復活不可にまで影響を及ぼしてしまっている、ヴィジュアルメタルの代表格の一つ、AION。恐らくこれまでの全音源についても今後再発は絶望的と思われるので、今のうちにめぼしいものは回収しておいたほうが良いと思われるが、個人的にはこのアルバム一枚あればAIONは十分だ。1stアルバム"Deathrash Bound"発表後に、ヴォーカルがNov(元Z-SECT、PARANOIA)へ交代し、ヴォーカルパートを録りなおし曲順、曲タイトルも変更しリリースされたのが本作。"Deathrash Bound"はヴォーカルがROSENFELDのヒサヨシということもあり正統派ジャパニーズスラッシュという趣だったが、本作ではMasakiタイプともウド・ダークシュナイダータイプともつかないNovの唯一無比のヴォーカルと歌詞が載ることにより、独特な切迫感を沸き立たせるスラッシュ/パワーメタルに生まれ変わっている。オーセンティックなスラッシュメタル以外の何者でもなかったこの楽曲に、このメロディラインは奇跡ではないだろうか。一方歌メロが押し出されている分、スラッシュメタルとしてはやや大味な気もするが、それもこの素晴らしい個性の前には些細な問題だろう。シリアスな狂気とダークネスをも醸し出すこの時期のバランスが、まさしくAIONの最高潮だった。この後はバランスを崩してしまい、失笑モノの歌詞とメタルとしてまるで魅力のない楽曲を技巧の力技でなんとか形にするだけのバンドに成り下がってしまったが、このアルバムだけは、特にジャパニーズメタル好きならば必聴ですよ!

 

更新再開

予定よりやや早いのですが、更新再開することにします。

更新停止時に色々書きましたが、あれからもまた色々と考えること、考えさせられることがあり、まあ結論として「音楽鑑賞ごときで、人の言うことに耳傾ける必要はないネ!」ってところに行き着きましたね。

最近僕が集中的に買ってるのが、これです。

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キングレコードの、ジャパグレ再発群!!

それも、歌謡曲っぽい奴ばかりを買っております。KENSOとかの洋楽っぽい奴は片っ端からスルーしてます!!(笑)。

なんつうか・・・これでもって「行き着くところに行き着いた」感じなんですよね。小学校の頃ゲーム音楽にほれ込んで、こういうのをもっと聴きたいと音楽に興味を持ったものの、何故かメタルに行って(笑)。そこで色々、いろーいろあって30年近く。ようやく、ようやくなんです。

買った奴は皆いいんですけど、やはりニューウェーブ期のNOVELA的なSOPHIAがとてもいい。あと、中島優貴氏の各ソロ作品。とくに「やまとなでしこ」とか、ファルオタな人は必聴ものですよ!!いやーこれはいい。実にいい。

で、ここに行き着いて、自分に対してはっきりと分かったこと。それは、僕はそもそもがロックの人間にはなれなかった、ということ。勿論メタルもそのロックのうちに入ります。

異論もあるでしょうが、所謂歌謡ロックは、元来のロックとはやはり本質を異とするものと思います。ロックンロールのリズムがあればロックになるわけではありません。やはり元来のコンセプトがあり、思想が、精神性があり、それらが伴って結局初めてロックになるのだと思います。歌謡ロックは、まず企画ありきで制作されているところが大きいのです。ゲーム音楽もゲームという企画ありきで作られている以上、どちらかというと歌謡ロックに性質が近いものと考えます。

僕が好きなのは、結局そうした企画ありきの要素であり、ロック元来の本質的な部分など、結局は興味すらも持てなかったのです。むしろ原初的には嫌悪感すら抱いていたといっても良い。子供のころ何かしらでDEEP PURPLELED ZEPPELINが耳に入ってくる機会もあったわけですが、嫌いでしたからね、率直に。今でこそある程度はってところです。

加えて、これは某所で指摘されていたことですが、日本ではBURRN!の創刊が80年代半ばという時代背景もあって、BLACK SABBATHのルーツが欠落したままメタルが広められてしまった。その環境下でメタルに慣れ親しむと当然、やはりBLACK SABBATHが欠落したリスナーが出来上がります。そうした人たちが・・・90年代に入るとパニックを起こすわけなんですねぇ(笑)。まあ僕の場合、その辺どうあれBLACK SABBATHは好きになれなかったでしょうけど。

結局、ポーザーで開き直らず、クソ真面目にロック、メタルと対峙してしまった僕が悪いのです。最初から「ああ、俺歌謡ロックの人だから」と周囲に表明しておかなかった僕が悪い。

そして、それを自覚することが難しかったのであれば、ロック、メタル好きの間に割って入っていかなければ良かったのです。最初から関わりを持たなければ、名指しで批判されることなどもなかった。

そうした自分に気づくことによって、今後の音楽鑑賞趣味の道筋も見えてくるというものです。本当、今後は好きなものだけ買って、好きなものだけ聴きましょう。

つわけで、今後ともよろしく。あと、今後はコメント欄も開いておきますので、何かありましたら好きに書き込んでください。ただ、必ずしもご返事は出来ないとは思います。あと、自分にとって負荷のかかるコメントがあった場合、遠慮なく消しますのでよろしく(笑)。僕と現在なかよしさんは、HNつけてコメントしてね。

 

 

 

 

DISCHARGE

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"Grave New World"DISCHARGE

80年代初めに世界を震撼させたハードコアパンクも、歳を経るごとに進化、拡散がどんどん進み、変わらないバンドはどんどん苦境に追いやられていったように思う。ハードコアパンクの始祖であり帝王であるDISCHARGEも例外ではなく、2作目のフルアルバムにして早くも新境地を余儀なくされた。彼らが選んだ道は、なんとヘヴィメタルへの転向である。これまで血を吐くような怒号を轟かせていたヴォーカルは、オジー・オズボーンかキングダイアモンドのようなねちっこいハイトーンヴォーカルに変わり、楽曲のベクトルもBLACK SABBATHやオジーソロを思わせるものへとシフトした。急激な変化ではあるがしかし、その作りは本格的だ。何より、元来のDISCHARGEらしさと新たなメタル要素のバランスが絶妙。ヴォーカルはメロディレスながらしっかりと歌い、一方で元来のアジテーションと漆黒の世界観をどうにかして保とうという意思が感じ取れる。当時の世間は空前のヘヴィメタルブーム。本作はDISCHARGEが放つ第二の衝撃として、歴史に爪あとを残せるだけの可能性は併せ持ってたと思うのだが・・・結果は悲しいことに「総スカン」だったという。元来の支持者の信用を失うだけ失い、新たな支持者を得ることもかなわなかった。確かに当時のあらゆる潮流を振りかえってみれば、このメタル志向は実は微妙にズレてたことは確かではあるのだが、ではBLACK SABBATH再評価が始まる90年代以降ならばどうだっただろう。また本作の受け取られ方も大分違ってたのではないだろうか。にも関わらず今日までそうした再評価があまり行われず、ともすればギャグ扱いされ続けているのはとても残念だ。DISCHARGEは本作の失敗により、しばらくの間どん底の低迷期を過ごすこととなる・・・。

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"Massacre Divine"DISCHARGE

DISCHARGE史上最も評価が低いアルバムとされる3rdアルバム。1991年リリース。前作はあまりに過小評価と強く擁護したくなる僕でも、こればかりはさすがにカンベンである。前作の失敗を受けて、次にバンドが選んだ一手は・・・「今度はファンクや!!」そうバンドが言ったのかは知らないけど(笑)、何にせよ前作のメタル要素にさらに加え、レッチリ風のファンクビートが取り入れられてるのは間違いない。但し、レッチリのあの柔らかいビート比べるべくもない、まるで後期高齢者がバンド組んでるみたいなギッタンバッタンたどたどしい演奏で。「正視に耐えない」ならぬ、「正聴に耐えない」とはこのことです。普通の精神状態だと続けて2曲聴くのが限度。酒入れて無理やり全編聴き通した後の、決して酒だけでは味わえない脱力感は絶品。こうなるとハイトーンシャウトもただただ滑稽に響く。パンクだからこういうもん?いや違うだろ(笑)。DISCHARGEというバンドの評判は、こういう新作を出してしまったことで、一端地に落ちてしまった。

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"Shootin Up the World"DISCHARGE

もはやパンクスの間でも特段話題になることなく、ひっそりと出された感の強かった4thアルバム。1993年リリースというご時勢を反映してか、今回はPRONGっすね。ギターの和音フレーズとかベースのビキビキ感とかまさにそれで、当時のモダンな音への意識の強さが伺える。かといってPRONG超えてるわけでも、PRONGにないサムシングがあるわけでもないのだけど、今回は演奏面も含めてキッチリしっかり作ってあり、良いとまでは言えなくとも「悪くない」と言えるレベルにまでは立ち直れている。何より、実は前作でもそうだったんだが、このバンドの作るリフは本当カッコいいのよね。パンクであろうとメタルであろうと。ああ、その辺は常に他所のバンドにはないサムシングだったかもしれないね。だから本音としては、そうした元来のセンスを大事にしてもらった上で、ここでやった音に手ごたえを感じてもらって、その続きを聴かせて欲しかったのよね。それには、恐らく前作はやっちゃいけないアルバムだった。前作がなければ今作はまだツーアウトだったから、あと一度のチャンスはあったのでは。そう考えていくと、つくづく惜しいアルバムです。DISCHARGEはこの後長い沈黙期間に入り、2000年に原典回帰アルバムで復活することとなる。

RAGING FATE/THE OUTER LIMITS/GRIMGOTTS/VOLCANA/DETEST

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"Gods of Terror"RAGING FATE

スウェーデンのパワー/スピードメタルトリオのデビュー作。初期GRAVE DIGGERやRUNNING WILD,比較的近年のバンドだとSTORMWARRIORを彷彿とさせるジャーマンパワーメタルスタイル。低めのトーンで淡々と単調な歌メロを歌うヴォーカルとか、かなり初期RUNNING WILDっぽいです。しかしこのヴォーカルで賛否両論分かれるでしょうなあ。個人的にははっきりと「弱い」と感じますんで。演奏面や楽曲面は悪くないんで、そういうスタイルのマニアは聴く価値はあるだろうけど、STORMWARRIORとかより先に聴く意義までは感じないバンド、アルバムです。

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"Apocalypto"THE OUTER LIMITS

ブルガリア産スラッシュ/パワーメタルバンドの2作目。前作は正直あまりいい印象がないのだが、今回はそれに比べたら恐らく大分よくなってるんじゃないかな?HEATHENやFORBIDDENを髣髴とさせるスタイルはこれまでのままに、大分曲中に起伏とかフックとかはついてきたよう思う。また、そういったものを力強く具現化出来る演奏力の高さも見逃せない。MOSH-PIT JUSTICEと兼任のラス・アンダーソン直系のハイトーンヴォーカルも相変わらずキレッキレで素晴らしい。あとは、もっとキャッチーさが増してくれればなぁ。その辺がかなえば、あと一ランク上のステージに行けるバンドだと思う。

(フルアルバム動画を貼るのは問題あるかなと思いつつ、これしかなくて・・・)

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"Lion of the Sea"GRIMGOTTS

UK産メロスピバンドのデビューフルアルバム。これまでのシングルで既に知名度は高いだけに、ファンにとっては待望のフルアルバムであろう。これ全編、ファンタジックでメルヘンなメロディに彩られたザ・メロスピサウンド。そつなくいい曲が揃っており、単純にこの手の音の秀作として素直に楽しめる。個人的に気になるのはヴォーカル。シングルの頃よりは良くなってるとは思うのだが、それでも起伏のあるメロディを歌いきれてない箇所はまだまだそこらかしこにあり、次作以降での改善が待たれる。ただ、そうしたところでイタリアのあのHEIMDALLとかを彷彿とさせたりもするので、味っちゃー味なのかな?

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"Goddess of Flame"VOLCANA

アメリカ産トリオのデビューアルバム。ジャンルとしては一応ドゥーム系になるのだろうが・・・一聴してまず耳につくのは、スラッシーなギターの音だ。んんん?これはドゥームバンドではなく、スラッシュ/パワーメタル系?しかしリズムは間違いなくドゥームの類。しかしギターは埃臭さ、泥臭さゼロのクリアーでエッジの立った音作り。いったいどうなってるんだと調べたところ・・・VINDICATORとかSEVEN WITCHESとかのメンバーがいるバンドなのね。なるほどそれは納得。個人的にドゥーム系はスルーすることに決めているジャンルなのだが、こればかりは耳を引きつけられずにいられない。いやこれはいいですよ。凄くとっつきもいいし。スラッシュ/パワーメタル脳でも余裕で楽しめる。筋金入りのドゥーマーの目にはどう映るか分からないけどね。

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"The End of All Ends"DETEST

80年代後半~90年代前半にかけて活動したスウェーデンヴァイキングバンドの、約30年越しのオリジナルアルバム作品。既にバンドは活動を終了しており、本作は昔のマテリアルを元に作られ たらしい・・・が、録音は元メンバー再集結して今回やったのかな?少し昔に出たコンピレーション盤も気に入ってよく聴いていたけど、今回のこのアルバムも当然素晴らしい。ヴァイキングメタル期のBATHORYとQUEENSRYCHEと掛け合わせたような、非常にユニークなへヴィメタルアルバムだ。重苦しく荘厳としたバッキングの上を、力強いハイトーンヴォーカルが高らかなメロディをなだらかに乗せていく。スロー曲が大半で速い曲はほぼないが(貼った曲は速いが)、それはノリに任せることなく隅々までドラマティシズムを行き渡らせようというコンセプトの表明でもあろう。ENSLAVED以降のブラックメタルスタイルとは全く無関係の場所で作られた、唯一無比のヴァイキングメタルでもあるのだが、それゆえに90年代初頭でその活動を終え、これまで歴史に埋もれてたんだろうなぁとも思う。90年代は本当、オーセンティックなへヴィメタルバンドが出てきにくい時期でしたからね。荘厳なへヴィメタルが聴きたかったら買いの一作。これも今年のベスト候補ですなぁ。

OLD MAN'S CHILD

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"Born of the Flickering"OLD MAN'S CHILD

DIMMU BORGIRやDødheimsgardでの活躍でも知られる才人Galdar率いるOLD MAN'S CHILDのデビュー作。リリース年の1996年にブラックメタル界で猛威を振るいまくっていたEMPERORやDISSECTION、SATYRICONなどの先達の美味しいところを片っ端からちょっぱってきて鍋にぶっこんだ上に、BLIND GUARDIAN系の切り込みギターで加味してぐつぐつ煮込むと、はい!とりあえずカッコいいだけは最高にカッコいい爆走メロディックブラックメタルの出来上がりでございます。こう書くとオリジナリティなど微塵もないかのように見えるだろうけど、アレンジにしても演奏力にしてもメタルとしての地力がこれだけしっかりしているバンドは、当時のブラックメタル界の中では他にいなかったように思う。そこはこのバンド唯一無比の強みだったかな。なんでも前身はMETALLICAやSLAYERのカバーバンドだったそうで、なるほどなんか納得。次作からは暴走ビートが鳴りを潜めるので、EMPEROR直系のファストブラックが好きな人ならこのアルバムからが良いだろう。

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"The Pagan Prosperity"OLD MAN'S CHILD

前作の爆走2ビートをほぼ捨て去り、いきなりおとなしくなった2作目。それじゃつまんなくなったのか?いやいやとんでもない。スタイルを思いっきり正統派HM/パワーメタルに寄せた上で、スキなく作り上げられた秀作だと思う。騒々しさがなくなっただけに、最初はスカスカ感が否めないが、一度聞き込めば分かる、一つ一つ丁寧に練り上げられた美旋律。シンセの装飾が今となってはチープめかなという気もしないでもないが、このくらいあっさり目なのもいいかも。ブラック系のヴォーカルにさえ免疫があれば、NWOBHMとかジャーマンパワーメタルが好きな人にもいいかもね。正直ここまで来るとブラックメタルなのかは怪しく、当時の僕はまだまだいきり立つ若者だっただけに、こんなんブラックメタルじゃないやいとガッカリしたものだが、今聞くととてもいいデスね。いや本当に・・・。

ALTAR/DAEMONIAN

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"And God Created Satan to Blame for His Mistakes"ALTAR(Holland)

オランダのALTARって昔(90年代前半期)からお店やらファンジンやらで度々名前見かけてはきたものの、ロゴがSARCOFAGOと混同しやすいとか色々あって、どうも手が出にくかった。今回もたまたまアウトレットで1000円だったからこのCD買ってきたわけなんだが・・・再生ボタン押して、即ぶっ飛んだ!同郷のPESTILENCEにMORBID ANGELとDEICIDEの美味しいところをぶっこんだかのような最強サウンドじゃないか!本作は1stデモのCD化なのだが、このデモ当時もし入手してたら、完全にハマってただろうなぁこれは・・・。ボーナストラックとしてライブ音源も収録されているが、これがまた圧倒的な演奏力で凄い。リアルタイムで聴いてこなかったことをただただ悔やむばかりだ。とりあえず今からでもアルバムのほうも是非聴きたいね。

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"Endless Corridor"DAEMONIAN

Invasion of SolitudeレコードのLord Nothingness氏のプロジェクトのうちの一つ、DAEMONIANのデビューアルバム。ブックレットの最終頁の"Hail"欄にはビッシリとNo Fashion系メロデス/メロブラバンドの名前で埋め尽くされ、その頭上にはNo FashionTシャツで身を固めたLord Nothingness氏の雄姿。これだけでもう、氏のNo Fashionへの並ならぬ愛がヒシヒシと伝わってくるというものだが、本編もその期待を裏切らない内容となっている。オープニングがやや空回りげというか煮え切らない感じなのが残念だが、そこから先は、ギターのメロメロのトレモロフレーズで全編走り通す!ツインギターのハモリには並ならぬこだわりを感じるし、ここぞというところでのフックの付け方も中々ニクい。一方、かなり荒削りげではあり、正直誰でも彼でも薦められるアルバムではないのだが、90年代の原初的なメロデスメロブラがたまらなく好きであるくらいならば、本作もきっと聴く価値はあるだろう。個々のメロディの質より、全体通してのメタルとしてのカッコよさを求める人向けかな。ラスト曲はブリザードリフで突っ走る本気のブラックメタルナンバー。こういうのもキッチリ出来るんですね。やるなぁ。

SLANDER/NECROPHILE/KATAKLYSM

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"Resolution Defiance"SLANDER

90年結成の「遅れてきたNWOBHM」、SLANDERの2ndアルバムが、前作から実に26年ぶりのリリースとなった。前作の畳み掛けるようなノリのへヴィメタルにやられた人も多かろうが、今作はややメロディアスになってる印象だ。自分の知ってるNWOBHMバンドで例えると、丁度WILDFIREみたいな感じか。一方で前作のソリッド感も健在なので、その辺の心配も不要である。前作よりも実直にスケールアップした印象で、前作ハマりこんだ人は今作もしばらく手放せなくなること必至。このカッコよさは四の五の理屈で語るのは難しい。NWOBHMに疎いからといって敬遠する必要もないと思う。僕だってそうですから。へヴィメタルという音楽が好きならば、一聴の価値は間違いなくあると思うなぁ。今年のベストアルバム候補が早くも登場してしまった。

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"Awaking Those Oppressed"NECROPHILE

日本のデスメタルバンドとして初めて海外ツアー(アメリカ)を行ったNECROPHILEは、間違いなく日本のデスメタルの歴史を紐解くにあたって最重要バンドの一つである。しかしこれまでリリースされてきた音源はデモ、EP、スプリット参加のみで、今回実に約30年越しのアルバムデビューとなる。各メンバーはこのバンド以外にもMULTIPLEX、HELLCHILD、TRANSGRESSOR等層々たる日本のデスメタルの名バンドで実績を積んできた猛者の集まりであるが、それでもあまりにアルバムデビューが遅すぎた感は正直あった。少し前のコンピレーション盤を聴いて、ライブも幾度か拝見させてもらってきた限りでも、これはアルバム出すなら90年代初頭に出すべきだったんじゃないかと・・・。しかし実際聴いてみて、そのような浅はかな疑念はいっぺんで吹き飛んだ。オールドスクールの強さとプライドを現代に叩きつける強力作だ。確かにサウンドスタイルはDEATHやMORBID ANGELなどの流れにある、デスメタルの歴史の中では黎明期に位置するものだし、このバンドはそうしたルーツよりもさらにシンプルな音と身上としている。現在の複雑怪奇なブルータルデスメタルとは対極に位置するといってもいい。しかしその分一音一音が極めて力強く、大熊氏の噛み付くような咆哮は本気本物の厳つさがみなぎっている。そうしてアルバム全体に漂う殺気は、現在の若いバンドはきっと出せないものだ。これこそが、90年代の日本のデスメタルである。あの時代の音と情景が、現在の洗練された録音技術によってここに見事に蘇ったのだ。そういう点でも、本作の意義はとても大きいものがある。正直中々入手しづらいアルバムではあるのだが、オールドスクールに向き合う気概のある人ならば、絶対に聴いたほうがいい。今年のベストアルバム候補その2(リリースは完全に去年枠だけど、まあいいや)。

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"Sorcery"KATAKLYSM

カナディアンデスメタルの重鎮、KATAKLYSMの1995年リリースのデビューアルバム。このアルバムはとにかく冒頭のタイトル曲"Sorcery"に尽きる気がする。バンド名どおり大洪水、というか土石流と表現するのが相応しい怒涛のバッキングに、前後不覚でのた打ち回るが如きキチガイとしか言いようのないヴォーカル。このインパクトは相当なものなのでデスメタルが好きならば一度は聴いておきたいところだ。ギターのゴリゴリの音作りも本当つおい。但しこのブルータリティはアルバム通して貫徹されているわけでもなく、ウェット感を含んだ曲も多数見受けられる。後年このバンドはメロディックデスに移行するわけだが、デビュー時点でもうその片鱗は現れていたということだ。そういえばこのバンドってデビュー時結構賛否両論だったような・・・それで僕はアルバムの購入をためらってたから。本作は現在、EP"The Mystical Gate of Reincarnation"と2ndアルバム"Temple of Knowledge"がセットになったものが出回っているので、そちらを買うのがお得。