本年度ベストアルバム

今年恐らくもうCD買わないだろうし、年の瀬の慌しさの中楽しむ余裕もないので、もう決めてしまおう。こんな感じですかねぇ~

 

・新作

www.youtube.com

1."Rouge Noir"ZEMETH
2."Through Aching Aeons"DESULTORY
3."Satellite YoungSATELLITE YOUNG
4."Ace of Space"WOLF AND RAVEN
5."The Cult of Flesh"MORBID ART

 

・再発

www.youtube.com

1."Malleus Maleficarum"PESTILENCE
2."Death or Glory"RUNNING WILD
3."Retribution"MALEVOLENT CREATION
4.”Blood & Valour”BESTIAL WARLUST
5."Under the Red Moon"JUNTESS

新作については、もうZEMETHがダントツになるであろうことは、発売当初から判っていた。これ実のところ客観的評価によるものではなく思いいれを多分に含んでいるのだけど、なんというかまさかこんな形で、自分のルーツとしてのゲーム音楽と向き合うことになるとは思わなかったんだよね。ファルコム系他ゲーム音楽からも多分に影響を受けたメロディックデスメタル・・・本当衝撃的だった。あと、順位は3位にしてしまったけど、サテライトヤングも非常に印象深かった。彼女らも過去の音楽を現在進行形のものとして再構築する手法。そこに、ノスタルジーではない過去の向き合い方について大いに考えさせられた。

それと、今年は再発ものもとても抱負な年でした。なんか、再発して欲しい奴結局全部かなっちゃったんだよね。待望という意味ではMALEVOLENT CREATION初期3作の突然の再発が本当事件だったんだけど、それ以上にこの再発で初めて聴いたPESTILENCEの1stがカッコよすぎて。願わくばMONSTROSITYも、こんな感じでちゃんとしたレーベルからちゃんとした形で再発になってほしいですね。あと、これまた突然の再発だったJUNTESSも嬉しかったは嬉しかったんだけど、出来ればCDで再発んなって欲しかったね。元がCD作品なんだし。

実のところ、今年は「買ったものの聴けてない」奴が結構ある。一人暮らし始めて1年半ちょい。実家住まいのときみたいにスピーカーで好き勝手に音楽聴ける環境じゃなくなったしね。Stormspellものが全然聴けてないんで、ここに全然ランクインしてないんですよね・・・まあ、その上でのランキングということで。それでも新作、再発それぞれの1位は揺るがなかっただろうけどね。

来年以降ですが、まあメタル離れしようとは思ってるんですが、こんなこと毎年行っててそのとおりになったためしないからねぇ。まーどうなることやら。あ、来年にはWILLARD再発があるんだよね。これはまさかかなうとは思ってなかったので、本当楽しみです。

 

PESTILENCE/WOLF AND RAVEN/万引チョコレイト/HELLKRUSHER

www.youtube.com

"Malleus Maleficarum"PESTILENCE

ダッチデスメタル家元、PESTILENCEの記念すべき1988年のデビューアルバムが、しばらくの廃盤の後同郷のHammerheart Recordsからようやく再発された。よく言われていることだが初期PESTILENCEはスラッシュメタル色が非常に強く、個人的には2作目までは純スラッシュメタルとして受け取っている。DEATHやPOSSESSEDなどの初期デスへの憧憬は表面的に感じつつも、それ以上にDESTRUCTIONやKREATORなどのジャーマンスラッシュメタルからの滋養をたっぷり吸収し、そのカッコよさを完全に自らのものにしたセンスが素晴らしい。フレージングには後年のプログレッシブ路線の片鱗が既に現れていたりも。凡百のユーロスラッシュフォロワーではたどり着けない次元に、このバンドはデビュー時から既に立っていた。とにかく初期デス/スラッシュとしては凄まじい完成度の一枚であるんだが、にも関わらず、これだけのアルバムを作った当人はあまり気に入ってないとかマジか。とにかく、獰猛だけどキャッチーなデス/スラッシュメタルに惹かれる人は、絶対に買っておくべきだ。それも早急に。このアルバムってどうも再発が10年にいっぺんペースらしいので、買い損ねてまた10年待つハメになっても知りませんよ。なお、今回の再発盤は2枚組で、2枚目にはなんとデビュー前のデモテープ2作とコンピレーション参加曲"Teutonic Invasion 2"が収録。

www.youtube.com

"Ace of Space"WOLF AND RAVEN

昨年、正統派メタルレーベルStormspell傘下のKaverns Kafkaから衝撃のデビューを果たしたSynthwaveユニットのW.A.Rが、早くも2作目のフルアルバムをリリースした。今作からStormspellから離れて自主レーベルでのリリースに移ったようだが、この作品こそStormspellユーザーは聴くべきかな。80年代要素満載のエレポップはこれまで同様ながら、前作よりもメロディの輪郭が明確で、かつギターがバンバン来る曲が多いように見えるので、これはHM/HR感性でも結構イケるんじゃないかと。気のせいかな?ライナーにも書いてあるとおり、メロディラインはクラシックビデオゲームからの影響をも感じさせ、少し前にはアウトランのトリビュート音源もリリースしているユニットなので、ゲー音クラスタも興味持って損はないと思うんだが、ここで少し愚痴っちゃうけど、日本のゲー音好きって本当Synthwave全般をガン無視状態なのはなんで?レゲー音楽を始めとする80年代音楽を、現在進行系の新鮮なものとして目を向けているムーブメントなんだよ!ゲームから音楽に興味を持出した自分などは、ここに理想郷を見出したほどなんだけど。そういやそもそも日本人でSynthwaveカルチャーにいる人自体、それこそサテライトヤング以外見かけないな…ぐぬぬぬ。まあ何にせよ、このアルバムはとても良いです!店頭では中々売ってないと思うので、とりあえず上のYOU TUBEがフルアルバムなんで聴いてみてください。公式なんで違法ではないです。

www.youtube.com

"返済"万引チョコレイト

宇都宮の伝説的ジャパニーズハードコアバンドの待望の新作にして、「借金返済」シリーズの「借金」に続く2年ぶりの新作アルバムとなる。前作からメンバーが変わっており、現在はなんとツインギター編成である。前作はメタリックでありつつもハードコアというより純パンクなゆるさが微笑ましい出音だったのが、今回はメンバーチェンジの影響か音が引き締まっているように感じる。元々「METALLICAみたいなギターが乗るハードコアパンク」が身上のバンドだと思うので、メタリックさを押し出すのであればやっぱある程度出音は引き締まってたほうがカッコいい。決して直情的にならず、韻を踏まえた上でユーモアを盛り込んだ歌詞も、このバンドの持ち味の一つだろう。印象的な曲も揃っておりかなり良いアルバムにも関わらず、「借金」同様今回も無料配布。さすがにこれは金とったほうがいいと思うけどね。言わば希少な昭和メタルコアなんで、そういうファンは喜んでお金出すでしょう。まあ何にせよこれだけの本格的なアルバムがタダで聴けるんで、興味の沸いた人はさっさとゲットしにいきましょう。入手方法はFacebookの万引チョコレイトアカウント参照。

www.youtube.com

"Wasteland"HELLKRUSHER

HELLBASTARDのオリジナルメンバーであるIan Scott(Bass)が、HELLBASTARD脱退後に結成したクラストコアバンドのデビュー作だそうです。って、昔某ファンジンが「HELLBASTARDの変名バンド」とかぶっこいてたんだけど、調べたら違うじゃねぇか嘘つくんじゃねぇ~。HELLBASTARDは、一昔前投げ売りCDの代名詞でもあった"Natural Order"を始め、強烈にタルいイメージしかないのだけど、こちらは普通にDISCHARGEからの流れのメタルクラストで大変カッコいいです。帯叩きにもあるとおりメタメタしい速弾きギターイントロで幕をあけて、以降黒光りを放ちながらズドズドと突っ走っていきます。門外漢のジャンルなんで、気の効いたこと全然書けないんですけど。

ATTACKER/ETERNAL THIRST/WILDHUNT/SACRED GATE

www.youtube.com

"Sins of the World"ATTACKER

VICIOUS RUMORSやMETAL CHURCHのような旧式アメリカンパワーメタルって、既に絶滅が確定してしまったかのように思えるのだが、その最後の砦を守り続けているバンドの一つがこのATTACKERだ。結成は84年と古いものの、80年代のアルバムリリースは2枚のみで僕自身一介のマイナーバンドとして記憶している。しかし2000年代に再結成してから、80年代とは比べ物にならないほど活発に活動しているようだ。本作は2016年リリースの、再結成後4作目のアルバムとなる。2013年リリースの前作"Giants of Canaan"を聴いたとき、VICIOUS RUMORSとかよりはHADESあたりに近いマイナー臭いタイプかなぁと思ったものだが、本作でもその印象は変わらない。Gの鋭いリフさばきと切り込むようなハモリのフレーズ、凄まじくパワフルなハイトーンボイスを聴かせるボーカルと、出音的にはかなり圧倒されるのだが、メロディがイマイチ乾きすぎてるというか、我々日本人にとってはキャッチーさに欠ける感がある。もっともそれこそがアメリカンパワーメタルの本質のような気もしてるのだが・・・VRみたいなバンドはメジャー感が突き抜けてたから我々日本人の心にも響いただけで、アメリカの素のメタルのメロディセンスはこれなんだと。まあ何にせよ、この音が出せるバンドというのは現在非常に限られてきてしまってるし、それだけでも個人的には楽しめる。

www.youtube.com

"The Hellish Fight Goes On"ETERNAL THIRST

80年代型のスタジアムメタルとかパワーメタルって、メタルで飯を食うのが難しくなった今再現が難しくなっていくんじゃないかと思ってたんだけどとんでもないね。少なくとも音源においては昔よりも着実に進歩を遂げている。このバンドも凄いわ。しかもチリ産。ここもメタル後進国だったのは今は昔なんだろうね。AGENT STEELのようなスピードメタルにOVERKILLや80年代後半ジャーマンパワーメタルのテイストを交えたような音なんだけど、とにかく1曲目で炸裂する怒涛の勢いには本当に圧倒される。Gソロ部で轟かせるピッキングハーモニクスはゾクゾクするようなカッコ良さだ。その後もかなり強力な楽曲が続き、最後まで耳を離せない。4曲目のインストナンバーなどもかなり出色の出来だと思うし、その上タイトルが"All Beasts Arise"とかカッコつけすぎじゃないですかー!ヴォーカルはメロスピブームの頃イタリアのバンドでかなり聴いたようなタイプで、ちょっと細いかな?と思わせつつ、それでも高音の伸びはかなりのものでスピードメタルで肝要なシャウトとかもバンバン決めていけてる。スピードメタル、パワーメタル好きならば絶対聴いておいたほうが良いレベルの凄い一枚。この時代においてもこんな音源に出会えるのは、僕は本当幸せものだよ。

www.youtube.com

"Descending"WILDHUNT

デモ音源がStormspellからCD化もされていた、オーストリアスラッシュメタルバンドのデビューアルバム。デモの時はギターヴォーカルとドラムの2人しかいなかったが、このアルバムではベーシストが新たに加入している。デモの頃はドイツのACCUSERみたいな湿りきったユーロテクニカルスラッシュかなーと思っていたが、このデビューアルバムでは、METALLICAやTESTAMENT、そしてHEATHENを思わせる明快さとギターの刻みがより強調されているように感じる。7,8分の構成に凝った長い曲が多いのだが、しっかりとした構成力でもって聴かせる内容に仕上げられているあたり、頑張っているなぁと感心させられる。ただ、ドラムがやや追いついていない感があり、その辺でいささかの荒さや不安定さを感じてしまうのも確か。でもその辺は今後活動を続けていけば確実に改善されていくでしょう。思えばベイエリアクランチ標榜系バンドは今でも多くとも、こういうドラマを音で表現するバンドって最近では珍しくなっているので、このバンドには頑張って欲しいし影ながら応援している。

www.youtube.com

"Countdown to Armageddon"SACRED GATE

ジャーマンパワーメタル若手バンドの2016年リリースアルバム。このバンドは知らなかったのだが、聴いてびっくり。このヴォーカルはJames Rivera???慌てて調べたら全くの別人でほっとした。またHELSTAR辞めたのかと思ったから。確かに良く聴くと本家に比べると声域が狭そうとは差異が見受けられるのだが、声質はとにかく似てる。だもんで音楽性もRiveraの主なキャリアであるHELSTARや以前やってたDESTINY'S ENDを彷彿とさせるもの。ただパワーメタルらしいジャキジャキ感はあまりなく、よりIRON MAIDENというルーツに近い感じだけどね。何にしてもジャーマンらしさは希薄で本当HELSTARとかのアメリカのバンドみたい。スタイルは本当オーソドックスなのだけど、演奏力は確かだし、曲も聴かせる内容だし、何よりこの出音だからね。自分みたいなアメリカンパワーメタル好きはそれだけで耳を惹かれてしまう。今後にも期待したかったところだが、なんと本作発表後に解散!!もったいない~。

RUNNING WILD

www.youtube.com

"Gates To Purgatory"RUNNING WILD

元祖海賊メタル、RUNNING WILDの記念すべきデビューアルバムで、発売は1984年。RUNNING WILDといえば勇壮で大仰ながらどこか牧歌的なメロディと曲調が最大の個性だが、実はそれが確立されたのは結構後。デビュー直後はそんなものは殆ど面影もなく、当時の他の若手ジャーマンメタル群の例に漏れず、ACCEPT影響直下のスタイルだった。それでいてスピードメタル指向が強く、ぶっちゃけ同期のGRAVE DIGGERやWARRANT(勿論ドイツの)のデビュー作と同じような感じ。またこの頃はロックン・ロルフ(G/Vo)の声域が狭く、低いトーンで歌う場面が主なのもあってか、全体的に暗く、どこかVENOMを思わせたりも。唯一"We are Running Wild"と高らかに謳うラスト曲"Prisoner of Our Time"のみが、後につながるものを感じさせるが、これもどっちかというとACCEPT直下型かもしんないなぁ。と、なんだかネガティブなレビューに受け取られるかもしれませんが、ジャーマンスピードメタルとしては大変格好良く必聴レベルなんで、先に名前を挙げたGRAVE DIGGERとかWARRANTとか好きなら買いですよ。

www.youtube.com

"Branded and Exiled"RUNNING WILD

前作の延長から"あの"明るい海賊メタルの個性確立へと向かうのかと思いきや、なんと逆にダークな方に向かってしまった2作目のフルアルバム。1曲めの地獄の釜を開けたかのような"じゃ~ん"ってイントロからして、VENOMかBATHORYかと思いましたから。そして、前作以上にロックン・ロルフの歌のトーンが低い。もしかしたら喉の調子が悪かったとかもあるのかもしれませんが、単純にサタニックスラッシュメタル方面を模索していた可能性もありですねー。時代が時代ですし、所属レーベルのNoiseはHELLOWEENのイメージが強いけど一方でジャーマンスラッシュメタルの大手でもありましたし。後のRUNNING WILDしか知らない人が聴いて一番愕然とするアルバムかも。ただ、根本的なスタイルはやっぱりACCEPTですよ。あとJUDAS PRIESTからの影響の面影もありかな。速い曲とか"Rapid Fire"みたいですし。

www.youtube.com

"Under Jolly Roger"RUNNING WILD

3作目のフルアルバムで1987年リリース。RUNNING WILDの御馴染みの"あの"音は、本作の冒頭のタイトル曲"Under Jolly Roger"で初めて幕を開けるといっても過言ではないだろう。アルバム全体としてはまだまだACCEPTからの影響は色濃いが、そのタイトル曲や後にリレコーディングされる"Beggar's Night"など曲単位では、既存のバンドの模倣の域を完全に脱している。何より、ロックン・ロルフの歌唱力の向上が著しい。後と比べればまだまだ粗いとはいえ、声域も格段に広がり、印象的なメロディを情感的に歌えるまでになってきている。極めるまでにはまだ道半ばとはいえ、ヘヴィメタルらしいヘヴィメタルが聴きたい人には必聴レベルの内容に仕上がっている。コアなスピードメタルマニアでない限り、このバンドはここから聴くのもいいかもしれませんねー。

www.youtube.com

"Port Royal"RUNNING WILD

4作目のフルアルバムで1988年リリース。RUNNING WILDのスタイルは、事実上このアルバムでついに完成に至ったと言えるのではないか。ほぼ全曲においてACCEPTの影響下から脱却し、RUNNING WILD以外の何者でもない正に「海賊メタル」を披露している。そして本作でも聞き逃せないのが、さらに劇的な成長を遂げたロックン・ロルフの歌。ここまで来るともう粗さもなく、後年御馴染みとなるあのステキな歌声ですよ。また本作と次作では、IRON MAIDENあたりからの影響か?プログレマインド漂わす緻密なアレンジメントの楽曲にも挑戦。本作だと"Final Gate"がそれに該当する。彼らのこの若々しいチャレンジ精神はこの辺の時期でしか味わうことが出来ないので、彼らの歩みを探求するならばやはり見逃すことは出来ないだろう。パワーメタルという枠すらも超えたかなり濃度の高い作品だが、彼らはこれだけの作品すらも元手に、次作でついに究極の高みを目指すこととなる。

www.youtube.com

"Death or Glory"RUNNING WILD

RUNNING WILDの最高傑作といえば、この作品であることに異論のある人は少ないだろう。絶賛されるだけある、本当に素晴らしい5作目のフルアルバムである。パワーメタル史上に残るであろう感動の大名曲"Riding the Storm"で幕を開け、以降も洗練を極めた一級品の曲が続いていく。そして高いテンションを保ったまま、全編を走りとおす。RUNNING WILDの個性のみならず、このバンドの持つスケール感が極まった一作と言えるだろう。そのスケール感に着目するにあたって特筆すべきは、やはり5曲目"Highland Glory"のプログレッシブ性、そしてタイトル曲"Death or Glory"の鮮やかさだ。正直こうした挑戦心を感じる曲は、後のアルバムでは聴かれなくなっていく。そうした面でも、一つの才能あるバンドが一丸となって頂点に駆け上っていく凄まじい熱量が詰まっているアルバムと言えるのではないか。恥ずかしながら僕は以前このアルバムをわりと適当に聴いてしまっており、その真価が全く見抜けなかったのだけど、いやはや、これはU.D.O."Timebomb"と並ぶ、90年前後のジャーマンパワーメタルの歴史的名盤でしょう。この後このバンドはここまでで培ってきたものを元手に、保守路線を歩んでいくわけですが、それも分かる気がする。SLAYERだって"Reign in Blood"を超えることは出来ないみたいなこと公言してるわけですし、RUNNING WILDもそれと同じような心境なのかも。とにかく、パワーメタルが好きな人、興味がある人は必聴!!

MORBID ART/MY DARKEST FURY/GOR MORGUL/BESTIALIZED

www.youtube.com

"The Cult of Flesh"MORBID ART

メロディックデスメタル主体を謳う新進気鋭の日本のレーベル/ディストリビューター、Invasion of Solitude Records。そのオーナーのLord Nothingness氏は自身でいくつかの宅録プロジェクトを主宰しているのだが、そのうちの一つがこのMORBID ARTだ。本作は自身のレーベルからこの度リリースされたデビューアルバムとなる。ジメジメジリジリとした音色のギターと、随所でブラストを雪崩れさせるスラッシュビートで突っ走っていく、所謂スウェディッシュデスメタルのスタイルを標榜する音で、表面的には初期DISMEMBERやCARNAGE、UNCANNYなどを強く彷彿とさせる。しかしそれらのバンドにはない大胆なキャッチーさがGリフにあり、そこから醸しだされる独特のノリのよさが、このプロジェクトの個性となっていると思う。他のプロジェクトではメロディを前面に押し出しているがここではなし。そういえばギターソロもないし、随所でうっすらとウェット感が表出するのみとなっている。総じて耳に残る曲が揃っており、この手の音が好きな人は買って損はないのではないだろうか。今のところ販売はInvasion of Solitude Records直販のみの模様。

https://iosrecords.thebase.in/

www.youtube.com

"Hectic Existence"MY DARKEST FURY

一応メタル辞典ではメロデスくくりとなっている、ロシア産バンドの2作目のフルアルバム。しかし実際聴くとメロデスって感じでは全くないんですがwこれ、グルーブメタルというか、所謂メタルコアって奴では?クリーンヴォイスも随所で聴かれるし、飛んだり跳ねたりが似合いそうな感じでもあるし。守備範囲外だと言及が難しいな・・・そっちの本職の方に怒られる可能性もあるし。とりあえず、僕が知る限りの本チャンのメタルコアよりは、より本筋のメタルの色彩は濃いように思う。だから僕などもさほど違和感なく聴けるし楽しめている。ただ、馴染みの薄いスタイルなだけに、評価の軸をどこにおけばいいのか分からない。そっち方面の方がこの作品をどんな感じで評価するのかは、少し興味がある。

www.youtube.com

"Heresy"GOR MORGUL

イタリアのデスメタルバンドの2作目のフルアルバム。レーベルではブラックメタル扱いになっているのだが、これはブラックか?!どう聴いてもデスメタルだと思うのだが。それはさておき、ドスの効いたグロウルと、硬質でスラッシーなGリフと、にわかに人間が叩いているとは思えない怒涛のブラストとスラッシュビートを交互に叩きだすドラムスを主体とした、壮絶にド迫力な音にただただ圧倒される。それでいて極めてキャッチーであるのが、このバンド一番の個性でありウリなのだろう。サビに類するパートが各曲に配置されており、ライブでは大盛り上がりになりそう。音は全く似てないにせよこのキャッチーさの意識はPOWERWOLFのようであり、昨今のエクストリームメタル系はこういう工夫が必須なのだろうね。アンダーグラウンド臭さはなく、デス/ブラックメタル好き相手であれば広く人に薦められるアルバムだ。

www.youtube.com

"Termestella Cvltvs"BESTIALIZED

コロンビアのブラックメタルバンドの3作目。ここんところデスもブラックもガチムチの超重戦車みたいなのばかり聴きつづけてきたので、このアルバムのイントロの拙いポンコツギターには思わずほっこりとしてしまいましたよ。本編に入ったらちゃんとしちゃったのだけど。このバンド名からウォーブラック系を想像したが、そこまで激しい音ではなかった。ただ、南米らしい硬質でドライな音であることは間違いない。荒涼としたコード弾きのギターの壁にブラストビートというIMMORTALを彷彿とさせるスタイルながら、ユーロ系のようなウェット感や繊細な美しさは一切なし。南米ブラックメタルは馴染み薄いのだが、これに関しては悪くないなと思いました。

AKHENATEN/SECTASYS/MISSA MORTVM/VOMIT OF DOOM/HATECROWNED/NAZGHOR

www.youtube.com

"Incantations Through the Gates of Irkalla"AKHENATEN

アメリカはコロラド州出身のデスメタルトリオの2作目。メソポタミア神話を題材に制作活動を行っているそうで、ミドルテンポ中心の硬質なデスメタルに、全編通して中東を思わせる音色がちりばめられている。中々耳慣れない音で斬新に聴こえはするのだが、和音進行にあまり変化がなく、メタルとしてはかなり単調に聴こえる。それでいてフレーズ自体は手を変え品を変えであれこれ鳴らしてるので、ミニマルって感じでもなくかえって中途半端。これは中東音楽とメタルの融合としては、あまり高い次元のものではないかな?という気も。面白いんだけどね。

www.youtube.com

"Brotherhood of Chaos"SECTASYS

ベネズエラ産のブラックメタルバンドのデビューアルバム。最初は初期北欧ブラックの荒涼トレモロリフ系か?と思わせて、聴き進めるとIMMORTAL系のヘヴィメタリックなリフを含めるブルータルなスタイルへと変わっていく。しっかりとしたギターソロをブラストビートにしっかり絡める形で聞かせるなど、演奏技量は中々のもの。SATYRICONを思わせるヴォーカルの載せ方もカッコいい。これといった個性があるわけでもないし、飛びぬけた内容があるわけでもないのだけど、タイピカルなものを求める人には悪くない内容だと思う。やっぱギターソロをカッコよく聞かせられるのは大きいかもしれないね。

www.youtube.com

"Et Lux Perpetua Luceat Eis"MISSA MORTVM

チリのブラックメタルトリオのデビューアルバム。現地語と思わしき歌詞が全く読めませんが、音聴く限り相当高品質なメロディックブラックメタルです。昔のULVERやGORGOROTHなどを彷彿とさせる感じの音ですが、使い古されきった北欧系のトレモロツタツタスタイルも、やはり素養がある人にかかるとまだまだこんなに豊潤な音楽になるんだなぁと改めて認識させられます。全5曲、8分とか9分とかの長い曲そろいですが、ドラマティックな起伏もあり、最後まで飽きることなくしっかり楽しめます。あまり書くこともないアルバムなんですが、内容のよさは確かですよ。

www.youtube.com

"Obey the Darkness"VOMIT OF DOOM

今度はアルゼンチンからです。このロゴから、分かる人には大体音のほうは想像つくでしょう。ブラックスラッシュでございますよ。初期SODOM直系な感じですが、ベイエリアクランチ的な刻みも取り入れ、イケイケに全編突っ走ります。この手の音は、そもそもが昔のプレブラックメタルバンドの復元みたいなものなので差別化が難しく、このバンドも例に漏れずその辺苦しんでる感じですが、とりあえず演奏の前のめりな荒々しさは良い感じです。とりあえず次作まで聴かないと真価は見えないかなぁ。

www.youtube.com

"Newborn Serpent"HATECROWNED

なんとレバノンブラックメタルトリオのデビューアルバム。上のティーザーの曲も含めて合致しない曲もあるのだが、内容の大半は、90年代ブラックメタル黎明期をかざったバンドの一つ、フィンランドのMYTHOSにかなり似てる。根っこにデスメタルの香りを漂わせた上で、轟音リフで空間を埋め尽くしつつツタツタ2ビートで疾走していく。MYTHOS同様、IMPALED NAZARENEをデスメタル方面にちょっと崩した感じと言い表してもいいかもしれない。ほんのり匂わせるリフの大仰さや叙情的なフレーズもMYTHOS同様で良い味出している。当人達がMYTHOSを意識してるのか、そもそも知ってるのか、たまたま出音が合致したのかは明らかではないが、何にせよ一見ありふれてるようで実は中々見ないタイプのブラックメタルバンドなので、それだけで価値があるかも。僕は無論好きですよ。

www.youtube.com

"Death's withered chants"NAZGHOR

北欧ブラックメタルの本場、スウェーデン出身の4人組(現在は5人組らしい)の2016年リリースの5作目。というと結構な中堅キャリアがあるかと思いきや、結成はなんと2012年。一年に一作のリリースを続けており、今年2017年も既に新作を出している。スタイルは典型的北欧メロディックブラックメタルであり、そこそこドラマティックに曲は作りこまれているものの、特段個性を持ってるわけでもないし、創造力も感じない。その上でこの多作さは、多分ブラックメタル好きの子たちが集まって、自分達の好きなバンドっぽいことをやってみている段階で留まっているバンドなのだろう。このアルバムも僕はフィジカルで入手したけれど、初出はBandcampオンリーだったみたいだし。水準以上のメロディックブラックメタルだったらなんでもいいという人にはいいと思う。僕はもう人生の残りが見えてきちゃってる年代なんで、こういうのに割く時間はないんで・・・で片付けたかったところだけど、BATHORY直系のスローナンバーの8曲目からラスト曲までの流れはまあまあ。

NARCOTIC GREED/ROSENFELD/RITUAL CARNAGE

www.youtube.com

"Fatal"NARCOTIC GREED

日本には、何故か和製FORBIDDENが多い。東京のFORBIDDEN、名古屋のFORBIDDEN、九州のFORBIDDEN・・・こちらは大阪のFORBIDDENであり、隠れた名スラッシュ/スピードメタルバンドでもあるNARCOTIC GREEDのデビューアルバムだ。ハイトーンヴォーカルにメカニカルなインストのアンサンブルというFORBIDDEN的な部分は踏襲しつつも、高崎晃やヌーノ・ベッテンコートなどを彷彿とさせるWarszawa氏のギタープレイが、所謂FORBIDDENフォロワーに留まらない最大の個性となっている。また、RAGING FURYやROSENFELDなど80年代~90年代浪速スラッシュメタル軍団の根底に通ずる「浪速らしさ」はこのバンドでも感じ取れ、FORBIDDEN云々はあくまでざっくりとした形容と受け取るに留めたほうが良いのだろう。ヴォーカルはさすがにラス・アンダーソン並とは行かず、タイニーな感じはしてしまうが、それでも素の声質は中々格好良く、十分こういうものと受け取れるものだと思う。

初出は自主レーベルからの発売だったが、2016年になんとあのDivebombからリマスター再発。その辺からも海外のスラッシュコレクターの評価の高さが伺える。なおこの再発盤にはアルバムデビュー以前の名作デモ"Crisis of Ruin"も全曲収録されている。音質の悪さが非常に惜しかったデモだが、今回こちらも同様にリマスタリングされており、かなり鑑賞に堪えるレベルに仕上がっていると思う。アルバムとこのデモとではリズム隊が異なり、それぞれの面子で楽曲の感触がかなり違うのが面白い。個人的には随所随所で手数を叩き込むドラムが最高にカッコいい"Crisis of Ruin"の方に軍配があがるかな。

www.youtube.com

"Pigs of the Empire"ROSENFELD

80年代後半からの、AION、GARGOYLE、COLOR、東京ヤンキース、YOUTHQUAKE、そしてX(JAPAN)といったヴィジュアルスピードメタル軍団の最高峰であり、日本のスラッシュメタルの中でも指折りの名バンドでもあるROSENFELDの、結局は唯一作となってしまいそうな1991年発表のデビューアルバム。DESTRUCTIONやLIVING DEATHといったユーロスラッシュ群のジャパニーズスラッシュ的解釈といったスタイルであるが、このアルバムでもっとも特筆すべき点といったら、なんといっても楽曲の比類なき質の高さだろう。捨て曲などあるわけもなく、全曲名曲レベル!!日本のスラッシュというと楽曲の質より出音の肉感性が先行しがちなイメージがあるだけに、この凄まじい曲のクオリティには尚更驚かされる。中にはなんとバラード曲もあり、これがまた絶品!!慟哭を表現出来ていればハーシュヴォイスですらもバラードに馴染むことは、ウド・ダークシュナイダーが証明しているけど、ここではその威力を最大限に発揮しており、聴く者誰もが強く心を打たれるだろう。しかもそんな「静」のムードに落とし込んだ次の瞬間に、絶叫とともに超ファストナンバーが叩きつけられるという圧巻の展開。こんな全編手に汗を握りながら聴けるようなメタルアルバム、他にそうそうないのでは?音質がギターウルフ2歩手前くらいのあまりに生々しいところは好き嫌い分けるだろうけど、その辺も90年代半ばにそういう音質をウリにしたブラックメタルムーブメントみたいなのが起こったわけですし、そういうものと解釈して聴けばよろしいでしょう。とにかく、日本メタル史上1,2を争う名盤だと思うので、まだ未聴の方は少なくとも存在を頭の片隅にとどめておきましょう。1994年のリマスター盤以降長らく廃盤が続いてしまってますが、数は出てるのでブックオフとかでひょっこり1000円くらいで出てくることも少なくないです。

www.youtube.com

"The Highest Law"RITUAL CARNAGE

1990年代末~2000年代前半の東京のメタル界隈にて名物でもあった巨漢アメリカ人、Dan率いるRITUAL CARNAGEのデビューアルバム。元々はブルデスバンドとしてライブ活動を行っていたのが、スラッシュメタル復興ムードが強まるに従ってスラッシュメタルへ移行。そんな経緯を辿ってるとなると付け焼刃を警戒したくなるが、少なくともスラッシュメタルに肝心なキャッチーさはしっかり踏まえた、中々良いアルバムとなっていると思う。一応アメリカ系の音だが、ベイエリア系にありがちな軽薄な明るさはなく、どちらかというと初期のMETALLICAやWHIPLASHなどを彷彿とさせる(両バンドともライブでカバーやってたし)。その上にデス/ブラックメタルの不穏さも盛り込んでいる感じか。正直借り物臭いフレーズも散見されるが、変にオリジナルに拘るあまりつまらないフレーズの羅列になってしまうのなら、(楽曲全体がオリジナルであるなら)借り物も全然アリというのが僕の考えだ。またこの時期はスラッシュメタル再評価に沸きあがる中、それがオマージュとして許されるべき時期だったとも思うし。何よりリーダー以外日本人で固めた和製バンドとして、あのOsmoseから高い話題性と共にデビューを果たし、レーベルメイトを次々と日本に招聘した功績は、後の日本のメタル界に大きな影響を及ぼしていると思う。なお、ノンクレジットだが、本作のドラムはVOMIT REMNANTSの坪井氏がプレイしている。

https://ameblo.jp/alchemy-crystal/entry-12019760806.html